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学科 メディア学科
年度 2012
ゼミ名 柴内 康文
タイトル 音楽と映像のムードの不調和が印象形成にもたらす影響
内容 映像作品において欠かせない存在となっているのは音楽である。映像と音楽を組み合わせる表現技法は多数ある。その中で、暗い映像に明るい音楽を組み合わせるような「対位法」と呼ばれる表現技法がある。この演出はその奇妙な組み合わせ方により、他のシーンとは違った印象的なものにする。本研究の目的は、対位法のような「映像と音楽のムードの不調和」が印象形成にどのような影響をもたらすのかについて実験を通して検討し、対位法の効果を検証し、より効果的な演出方法を探ることである。ムードといっても様々あるが、本研究では明暗性に限定し、対位法と同じような映像素材を作り実験を行った。研究の結果、最も映像の印象を高めたのは「映像と音楽のムードの不調和」ではなく、「映像のみ」であった。映像と音楽を組み合わせることが当たり前になっているが、「無音」が効果的に働くということが分った。
講評  試問においてそれぞれの問題について聞いたので、個別の講評は省略します。試問においては、主に二点について問うようにしました。一つは、自分自身では気づきにくいが、論文が抱えている大きな論理的欠陥についてでした。問題を明確にし、取り扱える規模に小さくしていかないと論文は完成しませんが、そのような作業の中でどうしても細かい部分にばかり目がいってしまい、大きく見たときにおかしな部分がでてきてしまうことがあります。もう一つの質問点は、論文において論証できたことをふまえて、いったいどのようなことが扱った現象、あるいは社会に対して言えるのか、ということでした。実は、この二つの問いは相互に関連しています。解明したことから、何を言おうとしているのか、それが論文を貫く太い幹、ストーリーです。この中心線を折に触れて思い出すようにすれば、細かな作業や議論をしているときも、それらの部品がどこを向いていなければいけないのか、部品間に組み合わせのおかしなところがないのか確認することができます。「木を見ている時に同時に森を思い浮かべる」ことを、これからも意識してもらえればと思います。
 試問では聞きませんでしたが、加えて、全体に記述や文献の整理などに精緻さを欠いた、チェック不足の側面が見受けられました。言うまでもないですが、精緻な作業はあらゆるものの基本です。神は細部に宿ります。それを甘く見て足をすくわれることもあります。ひとまとまりの大きな仕事を終えたいま、太い幹の意識と、細かで正確な作業の重要性に改めて思いをいたしてもらえればと思います。卒論を完成させたからこそ、ここで書いている意味もわかるでしょうし、次の大きな仕事に取りかかるときに、この経験が生きることになるでしょう。
キーワード1 音楽
キーワード2 映像
キーワード3 不調和
キーワード4 対位法
キーワード5  
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