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学科 産業関係学科
年度 2012
ゼミ名 寺井 基博
タイトル 日本の労務管理から考えるサービス残業
内容 サービス残業とは、1日8時間・1週40時間という法定労働時間を超えて働いた場合や、法定休日に働いた場合にその時間に応じた割増を含んだ賃金が支払われないことである。フレックスタイム制みなし労働時間などの働き方の多様化がすすむにつれ、成果を時間で評価できなくなり、それに伴いサービス残業も増加したようだ。サービス残業は、当然のことながら労働基準法に違反している。その違反が立ち入り調査などで発覚すると、大きな損失を伴うにも関わらず、日本の企業に深く根付いている。サービス残業は、長時間労働の温床になりかねない。そして過重労働につながる可能性を秘めているのだ。サービス残業とは、もはやそれだけの問題というわけではなく、さまざまな労働問題につながっている。日本のサービス残業とはどのようなかたちで日本の労働環境に存在しているのだろうか。現在の日本の労働時間管理の実態を知り、サービス残業の解消方法について探っていきたい。
講評 提出論文のタイトルは、「労働契約法の制定過程と労使関係」「職人の技能継承」「ベーシックインカムに対する期待の検討」「日本の人事制度の変遷」「フィリピンの住居政策とパシッグ・リバー・プロジェクトの現状」「奈良県と京都市における廃校利活用の実態と課題に関する研究」等々。一瞥してわかるとおりテーマは自由とした。関心のあるテーマならば全力で取り組むことができるのではないかと考えたためだ。学生への事前指導として、目新しいことを書こうとせずに、自分が選んだテーマについて考え抜いたことを書くように勧めた。
自分の考えを書くといっても、まずは先行研究を読んで、議論の枠組みや主要な論点を把握しなければならない。論文の作法として、他者と自己との見解を峻別しなければならない。すると、複数の学生から同じような質問が寄せられる。先行研究の中ですでに書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのかという内容だ。答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。これらの作業そこが分析であり、読み手の考えに他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。
提出された論文は、実証的なもの、思索的なもの、地道な努力が光るもの、苦悶の跡が窺われるものなど多彩であったが、いずれもそこには「現在の自分」が現れている。確かに、考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど、荒削りな面はある。しかし、筆者の思いが切々と綴られた部分は、自ずと読む者を惹きつける。それは自分自身との対話の深さによるものだろう。
卒業論文の自分を起点として、社会人として新たなスタートを切ってもらいたい。
キーワード1 サービス残業
キーワード2 長時間労働
キーワード3 労働時間管理
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