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学科 産業関係学科
年度 2012
ゼミ名 寺井 基博
タイトル 労使関係からみた「名ばかり管理職」の本質的問題
内容 日本の労働問題の根底にあると考えられるのが長時間労働である。産業関係学科の4年間の学びの中でも特に関心を抱いたのが、長時間労働における「名ばかり管理職」問題である。「名ばかり管理職」問題とは十分な報酬を得ていなかったり、管理者としての権限が十分になかったりするにも関わらず、「管理職」という名称を与えられることで、労働基準法における労働時間等の適用除外対象者(第41条 第2号)となり、時間外労働や休日労働などの長時間労働を強いられる従業員が多数、存在しているという問題である。
そこで諸外国に「名ばかり管理職」問題が存在するのかという疑問を抱き、他の先進国の労働時間法制と日本のそれの、内容と運用実態を比較することで、日本にしかない労働問題ではないかと考えた。また「名ばかり管理職」問題が日本のみの労働問題と仮定した時、本質的な問題を明らかにするために、日本の労使関係の仕組みに焦点をあてて、論述していく。
講評 提出論文のタイトルは、「労働契約法の制定過程と労使関係」「職人の技能継承」「ベーシックインカムに対する期待の検討」「日本の人事制度の変遷」「フィリピンの住居政策とパシッグ・リバー・プロジェクトの現状」「奈良県と京都市における廃校利活用の実態と課題に関する研究」等々。一瞥してわかるとおりテーマは自由とした。関心のあるテーマならば全力で取り組むことができるのではないかと考えたためだ。学生への事前指導として、目新しいことを書こうとせずに、自分が選んだテーマについて考え抜いたことを書くように勧めた。
自分の考えを書くといっても、まずは先行研究を読んで、議論の枠組みや主要な論点を把握しなければならない。論文の作法として、他者と自己との見解を峻別しなければならない。すると、複数の学生から同じような質問が寄せられる。先行研究の中ですでに書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのかという内容だ。答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。これらの作業そこが分析であり、読み手の考えに他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。
提出された論文は、実証的なもの、思索的なもの、地道な努力が光るもの、苦悶の跡が窺われるものなど多彩であったが、いずれもそこには「現在の自分」が現れている。確かに、考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど、荒削りな面はある。しかし、筆者の思いが切々と綴られた部分は、自ずと読む者を惹きつける。それは自分自身との対話の深さによるものだろう。
卒業論文の自分を起点として、社会人として新たなスタートを切ってもらいたい。
キーワード1 長時間労働
キーワード2 名ばかり管理職
キーワード3 労働時間法制の適用除外制度
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