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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2012 |
ゼミ名 | 寺井 基博 |
タイトル | 職人の技能継承について |
内容 | 本論文は、職人の技能継承とはどのようにされているのか、その実態に焦点を当て研究を進めているものである。職人が見習いとして働く修業時代に、彼らは技術だけでなく職人として必要は能力も同時に訓練されているのである。特に、忍耐力・自主性・そして観察力である。特に、観察力が技能継承をするうえで最も重要な能力ではないかと推測している。また、今回は京友禅の中でも手書き友禅の下絵師としてお仕事をなさっている方に、聞き取り調査を行った。それに伴い、京友禅を作る作業工程、下絵師の役割などを見ていく。彼らが自身の師匠から技能を習得する際にはどのようにして技能を継承していくのか。ここで二つの仮説を立てる。①職人が技術を継承するにあたり、職人は師匠の作業を観察する。その際には師匠の仕事の様子を見る際に段取りをつけて記憶するのではなく、イメージとして記憶する。②特定の分野(今回の場合は京友禅の下絵という作業工程)のみに共通する常識のようなものがある。この仮説と聞き取り調査で質問をした事実を検証した際に違和感を覚えた。それは、技能継承とは基本の積み重ねであるということに気が付いたからである。 |
講評 | 提出論文のタイトルは、「労働契約法の制定過程と労使関係」「職人の技能継承」「ベーシックインカムに対する期待の検討」「日本の人事制度の変遷」「フィリピンの住居政策とパシッグ・リバー・プロジェクトの現状」「奈良県と京都市における廃校利活用の実態と課題に関する研究」等々。一瞥してわかるとおりテーマは自由とした。関心のあるテーマならば全力で取り組むことができるのではないかと考えたためだ。学生への事前指導として、目新しいことを書こうとせずに、自分が選んだテーマについて考え抜いたことを書くように勧めた。 自分の考えを書くといっても、まずは先行研究を読んで、議論の枠組みや主要な論点を把握しなければならない。論文の作法として、他者と自己との見解を峻別しなければならない。すると、複数の学生から同じような質問が寄せられる。先行研究の中ですでに書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのかという内容だ。答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。これらの作業そこが分析であり、読み手の考えに他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。 提出された論文は、実証的なもの、思索的なもの、地道な努力が光るもの、苦悶の跡が窺われるものなど多彩であったが、いずれもそこには「現在の自分」が現れている。確かに、考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど、荒削りな面はある。しかし、筆者の思いが切々と綴られた部分は、自ずと読む者を惹きつける。それは自分自身との対話の深さによるものだろう。 卒業論文の自分を起点として、社会人として新たなスタートを切ってもらいたい。 |
キーワード1 | 技能継承 |
キーワード2 | 職人 |
キーワード3 | 京友禅 |
キーワード4 | 観察力 |
キーワード5 | 基本 |
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