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学科 産業関係学科
年度 2012
ゼミ名 寺井 基博
タイトル フィリピンの住宅支援政策とパシッグ・リバープロジェクトの現状
内容 現在フィリピンでは、急激な都市開発により、農村部と都市との経済格差、賃金格差が発生している。職を求めた人々は、都市へと人口流出し、結果として都市への人口集中が激化した。都市に移住した後、住居を手にすることが出来ない人々が不法居住者となり、定住した。都市で不法居住者として生活する人々の住居問題は現在フィリピンで大きな問題となっている。
フィリピン政府は都市化による不法居住者の存在に対し、マルコス政権以降、様々な施策を行ったが、未だに都市での不法居住者は削減されているとは言い難い状況である。現在首都圏周辺で生活する人々は50%近くになっているが、貧困率はほぼ横ばいとなっているのである。
本章では、現在まで行われてきた住居支援政策が成果を維持させることができなかった原因を分析し、現在行われている住居支援政策であるパシッグ・リバー プロジェクトを取り上げたい。その上で、現在行われているプロジェクトと過去の政策を比較し、現状の課題を示したい。
講評 提出論文のタイトルは、「労働契約法の制定過程と労使関係」「職人の技能継承」「ベーシックインカムに対する期待の検討」「日本の人事制度の変遷」「フィリピンの住居政策とパシッグ・リバー・プロジェクトの現状」「奈良県と京都市における廃校利活用の実態と課題に関する研究」等々。一瞥してわかるとおりテーマは自由とした。関心のあるテーマならば全力で取り組むことができるのではないかと考えたためだ。学生への事前指導として、目新しいことを書こうとせずに、自分が選んだテーマについて考え抜いたことを書くように勧めた。
自分の考えを書くといっても、まずは先行研究を読んで、議論の枠組みや主要な論点を把握しなければならない。論文の作法として、他者と自己との見解を峻別しなければならない。すると、複数の学生から同じような質問が寄せられる。先行研究の中ですでに書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのかという内容だ。答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。これらの作業そこが分析であり、読み手の考えに他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。
提出された論文は、実証的なもの、思索的なもの、地道な努力が光るもの、苦悶の跡が窺われるものなど多彩であったが、いずれもそこには「現在の自分」が現れている。確かに、考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど、荒削りな面はある。しかし、筆者の思いが切々と綴られた部分は、自ずと読む者を惹きつける。それは自分自身との対話の深さによるものだろう。
卒業論文の自分を起点として、社会人として新たなスタートを切ってもらいたい。
キーワード1 フィリピン
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