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学科 産業関係学科
年度 2012
ゼミ名 冨田 安信
タイトル 「老舗味噌屋に学ぶ個人商店の生き残り術」
内容  明治元年創業の味噌屋である近江商店。従業員数は6人で、その内4人が身内の小さな個人商店。大量生産大量消費の現在、大手メーカーに対して一見すると不利な個人商店が100年以上もの間潰れる事なく生き続けていられるのはなぜか。今はもはや個人商店の時代ではないのかもしれない。しかし、それでも生き残らなければならない。では中小の個人商店が時代に負けないためにはどのような要素が必要なのか。近江商店四代目社長のインタビューを通して、いくつかそのヒントが明らかになった。近江商店の場合、「消費者のニーズに全面的にこたえる姿勢」、「直売ができる強み」、「県内唯一の白味噌の製造販売」、「味噌専業ではない強み」、「つながりを大切にする姿勢」の5つが大きな強みであるとわかった。また、これらの要素はそれぞれが独立しているわけではない。それぞれが密接なつながりを持ち、そのつながりこそが近江商店の歴史を守っているものだとわかった。大会社に負けることのない結束を取引先と固めながら、その会社だけの強みをできるだけ多く持ち、それらの強みをうまく連動させる経営のシステムを作ることが個人商店にとって重要なように感じた。
講評  今年度はアジアをテーマに選んだ卒業論文が3本あったことが目につきました。「東アジアの奇跡と今後の展望について」は、東アジアの国々が経済成長に成功した理由を明らかにしています。「東南アジアの日系企業」は、最近、東南アジアの日系企業で労使紛争が多発している原因を探っています。そして、「世界の貧困」も、バングラディシュのグラミン銀行のことを取り上げています。3人ともアジアの国々を旅行した経験があり、そのことがアジアを卒業論文のテーマにするきっかけになったのかもしれません。
 アルバイト先で感じたことが卒業論文のテーマになった学生も少なくありません。「大学全入時代における大学進学の利益」は、バイト先の飲食店の店長さんは高卒でまだ20歳代なのに、年収が千万円を超えているのを知り、大学へ進学することのメリットを改めて考えました。「若者の過労自殺」は、バイト先の居酒屋チェーン店の店長さんの過酷な働き方(働かされ方)を見て、過労自殺につながるような長時間労働がなぜ生じるのかを探りました。「主婦パート労働者」は、バイト先で一緒に働いている主婦パートを見て、それまで持っていた主婦パートのイメージが一変したことが卒業論文を書くきっかけでした。バイト先ではありませんが、「従業員の9割がアルバイトのディズニー」は、ディズニーが大好きな学生が選んだテーマです。このテーマを選んだのは彼女が初めてではありません。
 新聞やテレビで話題になったテーマ、授業で取り上げられたテーマを選んだ学生もいます。「日本人の働くモチベーション」は成果主義をキーワードに議論を展開していますし、「ヨーロッパの女性の働き方」は、ヨーロッパのなかでもとくに北欧の女性の働き方に注目しています。「最後のセーフティネット『生活保護』の未来」は、最近よく話題になった生活保護の議論をベーシックインカムにつなげていきます。「地域活性化の戦略」も最近、新聞やTVでよく話題になっているテーマです。新町キャンパスで開催された講演会を聞いて、それを卒業論文で引用したのは工夫です。
 卒業して働き始める自分たちが、近い将来考えるであろうことをテーマにした卒業論文もありました。「キャリア形成におけるパラダイムシフト」は、IT・ベンチャー企業に就職する学生が、転職も考えたキャリア形成について考えています。「働くという意味」も、なぜ働くのか、自分のためなのか、それとも家族のためなのか、そのあたりを卒業生にインタビューしています。
 今年度のゼミ優秀論文には「老舗味噌屋に学ぶ個人商店の生き残り術」を選びました。全編インタビューです。親戚の人にインタビューしたので、やはり本音で語ってくれた部分が多く、読んでいて、リアリティがある内容でした。優秀論文として掲載されるのであれば、ここは削ったほうがいいと思う部分もいくつかあるくらい、本音で語ってくれています。2、3時間のインタビューを卒業論文の字数である16,000字ちょっとに上手にまとめています。長すぎないもいいです。書きたいポイントを絞り込まないと短くできません。聞いてきたことをまとめただけではないかという見方もできますが、聞くことの難しさ、それをまとめることの難しさを私も少しは知っているので、この卒業論文をゼミ優秀論文に選びました。
キーワード1 個人商店
キーワード2 大手との差別化
キーワード3 地元志向
キーワード4 「細く長く」
キーワード5  
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