詳細
学科 産業関係学科
年度 2012
ゼミ名 冨田 安信
タイトル 「最後のセーフティ・ネット『生活保護』の未来」
内容 2012年4月12日発売の「女性セブン」に「年収5000万円の超人気芸人Aの母親が生活保護を受けている」と掲載されたことをきっかけに、世間の生活保護への関心が高まり、生活保護という制度そのものを見直せという声も出てきている。けれども、生活保護を受けるための要件や支給額など、生活保護についての基本的な情報を実際に知っている人は少ない。そういった生活保護の謎を具体的・多角的に追求していく。生活保護とは、「すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障する 最後のセーフティネットである。2012年には生活保護の受給者は210万人を超え、現在、その支出額は3兆円を大きく上回っている。しかし、現状、生活保護は正しく機能しておらず、問題が山積みである。具体的には、所得隠しによる不正受給問題、生活保護を悪用した貧困ビジネス、近年の格差社会による生活保護費の急増問題等である。これらの諸問題を検討し、今後の生活保護のあり方を考察している。
講評  今年度はアジアをテーマに選んだ卒業論文が3本あったことが目につきました。「東アジアの奇跡と今後の展望について」は、東アジアの国々が経済成長に成功した理由を明らかにしています。「東南アジアの日系企業」は、最近、東南アジアの日系企業で労使紛争が多発している原因を探っています。そして、「世界の貧困」も、バングラディシュのグラミン銀行のことを取り上げています。3人ともアジアの国々を旅行した経験があり、そのことがアジアを卒業論文のテーマにするきっかけになったのかもしれません。
 アルバイト先で感じたことが卒業論文のテーマになった学生も少なくありません。「大学全入時代における大学進学の利益」は、バイト先の飲食店の店長さんは高卒でまだ20歳代なのに、年収が千万円を超えているのを知り、大学へ進学することのメリットを改めて考えました。「若者の過労自殺」は、バイト先の居酒屋チェーン店の店長さんの過酷な働き方(働かされ方)を見て、過労自殺につながるような長時間労働がなぜ生じるのかを探りました。「主婦パート労働者」は、バイト先で一緒に働いている主婦パートを見て、それまで持っていた主婦パートのイメージが一変したことが卒業論文を書くきっかけでした。バイト先ではありませんが、「従業員の9割がアルバイトのディズニー」は、ディズニーが大好きな学生が選んだテーマです。このテーマを選んだのは彼女が初めてではありません。
 新聞やテレビで話題になったテーマ、授業で取り上げられたテーマを選んだ学生もいます。「日本人の働くモチベーション」は成果主義をキーワードに議論を展開していますし、「ヨーロッパの女性の働き方」は、ヨーロッパのなかでもとくに北欧の女性の働き方に注目しています。「最後のセーフティネット『生活保護』の未来」は、最近よく話題になった生活保護の議論をベーシックインカムにつなげていきます。「地域活性化の戦略」も最近、新聞やTVでよく話題になっているテーマです。新町キャンパスで開催された講演会を聞いて、それを卒業論文で引用したのは工夫です。
 卒業して働き始める自分たちが、近い将来考えるであろうことをテーマにした卒業論文もありました。「キャリア形成におけるパラダイムシフト」は、IT・ベンチャー企業に就職する学生が、転職も考えたキャリア形成について考えています。「働くという意味」も、なぜ働くのか、自分のためなのか、それとも家族のためなのか、そのあたりを卒業生にインタビューしています。
 今年度のゼミ優秀論文には「老舗味噌屋に学ぶ個人商店の生き残り術」を選びました。全編インタビューです。親戚の人にインタビューしたので、やはり本音で語ってくれた部分が多く、読んでいて、リアリティがある内容でした。優秀論文として掲載されるのであれば、ここは削ったほうがいいと思う部分もいくつかあるくらい、本音で語ってくれています。2、3時間のインタビューを卒業論文の字数である16,000字ちょっとに上手にまとめています。長すぎないもいいです。書きたいポイントを絞り込まないと短くできません。聞いてきたことをまとめただけではないかという見方もできますが、聞くことの難しさ、それをまとめることの難しさを私も少しは知っているので、この卒業論文をゼミ優秀論文に選びました。
キーワード1 不正受給
キーワード2 格差社会
キーワード3 貧困ビジネス
キーワード4 ベーシックインカム
キーワード5  
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