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学科 産業関係学科
年度 2012
ゼミ名 三山 雅子
タイトル 財務分析から考える日系メーカーの経営戦略
内容 今日、日本の製造業の業績は軒並み落ちている。製造業の業績低下の要因としては円高基調長期化、中国経済成長鈍化などが挙げられるだろう。しかし製造業の衰退の要因を考えると、経済を含む外部環境以外にも、内部環境、ヒト・モノ・カネ・情報の経営資源に問題があるのではないかと考える。その中でも本論文はカネ、つまり財務基盤に焦点を当てる。私は本論文を書くに当たり、「日本のメーカーの業績不振は財務基盤に問題がある」という仮説を立てた。この仮説が正しいか、重工業メーカーを例に財務分析を行い、論証していく。それに伴い、第1章では重工業業界の現状、取組みを見ていく。また第1章で把握した重工業業界の知識を元に、第2章では効率性・収益性・安全性の3点から財務分析を行い、財務分析結果を企業分析に生かしていく。第3章では、第2章で得られた企業分析の結果と各社中長期経営戦略を元に、三菱重工業とIHIの課題と展望を考察する。最後に、まとめとして第3章の考察から、私の仮説が正しいかどうかを述べたい。また財務基盤の指標を売上高に置くのか、利益に置くのか、それともキャッシュ・フローに置くのかという、財務分析の本質的な問題にも迫っていく。
講評  3人ほどを除いて、卒論にかける時間が圧倒的に少なすぎたと思う。就活は例年と同じく多くの人が夏休み前に終えていた。なのになぜこうも卒論に取りかかるのが遅いのか不思議であった。このように時間が足りないから、各人のテーマに即して調べるべき資料・文献に当たりきれていない人の方が多かった事は、きわめて残念である。また、ネットともに成長してきたような世代だからこそアナログデータ、つまり活字データをきちんと渉猟してほしいと思う。なぜならば、当たり前だがあらゆるデータがデジタル化されているとは限らないのである。そしてアナログデータへのアクセスはネットのように瞬時にとはいかず、時間がかかるのである。以上の二つはデータに関してである。しかし、難はこれだけではない。データに当たりきれていない場合は、往々にしてデータの分析解釈も不十分であった。別な可能性も考えられるのだが、その点について考察されておらず、ある事柄を主張する時の論理の詰めがあまいのである。どうしてこうなってしまうのか。なぜなのかと考えた時、実社会で働くことと大学で勉強することは別物であると考えているのではないかと思い当たった。しかしこれは浅はかな考えだ。確かに産業関係学科で学んだ産業関係を自己の仕事とする人は数少ないであろう。けれども、産業関係を学ぶ為に必然的に身につけた(と思いたい)調べること、調べたことに基づいて言語で論理的に表現すること――卒業論文もその一つである――は、社会に出てからこそ仕事をする上での武器として、必要とされるものであるからだ。たとえばいずれあなた達の中からも、中期経営計画の立案に携わる人達が出てくるはずである。中期経営計画は事業活動の根幹に関わるものだが、この立案自体、調べることと論理的に思考することなしにはあり得ない。そしてその結果は会社で働く人々に跳ね返ってくるという意味では、中期経営計画の立案とは血の出るものである。ちゃんとした卒論が書けないで、まともなプランが立案できるわけがないと思う。そう考えると、大学にいる今は仕事にそのまま繋がっているのである。

キーワード1 財務分析
キーワード2 日系メーカー
キーワード3 重工業メーカー
キーワード4 キャッシュ・フロー
キーワード5  
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