詳細
学科 産業関係学科
年度 2012
ゼミ名 上田 眞士
タイトル 日本企業が韓国企業に勝つには
内容 日本企業は今、グローバル化において壁にぶち当たっている。電化製品において世界トップシェアを誇っていた日立やソニー等の日本メーカーも他国の企業に押されている。中でも勢いがあるのは、韓国企業のサムスンである。特に薄型テレビにおいては今や世界トップシェアである。しかし、サムスンは始めから力を持った企業ではなかった。財閥企業で、韓国国内では力を持っていた企業だったのだが、世界的にみるとモノマネの製品しか作れないというイメージがまだまだ強く、性能を良くなかった。そんなサムスンを変えるきっかけとなったのはIMF危機である。これにより、韓国国内の財閥が解体された。サムスンも例外ではなく、いくつかの部門から撤退せざるを得なくなった。そして、たくさんのリストラが行われ、一生安泰とならなくなったサムスンの従業員達はサムスンの改革に本格的に力を入れることとなった。サムスンの大改革が進み、今やトップ企業となったサムスンであるが、まだたくさんの問題を抱えている。一番の問題はオリジナリティーの少なさである。アップルの訴訟問題にもあるように、サムスンの商品は他企業と似ているおのが多い。その理由はサムスンの「今売れているものを作る」という成長過程にある。こうした問題を解決しなくては、今後の更なる成長は難しいと考えられている。一方日本企業は高品質の製品を作りながらも、グローバル化につまずいている。その理由は、新興国への進出の出遅れと、高品質にこだわり過ぎる故の高価格である。グローバル化への意識の薄さも問題であり、これを見直さなければどんなに高品質のものを作っても世界で売ることはできない。
講評  提出された卒論テーマを分野別に列挙してみると,「産業空洞化と地域経済」「家電企業の日韓比較」「若者の就職難と非正規雇用」「少子化とワークライフバランス」「貧困問題と生活保護,福祉国家」「プロスポーツ選手のセカンドキャリア」等々となっています。これらのテーマを通覧しただけで,一方での経済や経営のグローバル化の進展,他方国内での格差社会化の展開という,現代日本の雇用社会の諸相が浮かび上がってきます。たしかに,問題の掘り下げや論理的な記述の如何という点では,個々の論文ごとにバラツキもありましたが,基本的には卒論作成という課題に対して,ゼミ生皆が誠実に取り組んでくれた,そのように考えています。ここではゼミ生が取り組んだ卒論作業を締めくくる講評として,どういう論文が優れた論文なのか,研究に際して大事だと思われるポイントを二点ほど指摘しておきたいと思います。
 一つには,政策提言の出来映えにではなく,問題把握や理解の深さ,広さにこそ,論文の命があるということです。そして,いま一つには,そのためにも本質的に批判的な研究であってほしい,そうした要望です。現代の雇用社会の住人である我々が,その雇用社会の一断面を取り上げ,現に存在するものを正面から受け止めようとするわけだから,そこでは必ず何らかの課題意識や問題意識が生まれてくるはずです。そうした現実に対して抱く緊張感を,論理的に整序して記述しようする姿勢が,論文の作成にとってはとりわけ大事だと思います。先人が述べてきたように,一方では,現にあるものをその存在の根拠から「肯定的」に理解すると同時に,他方では現実が抱え込んだ困難や矛盾を考察する「否定的」な把握も必要です。それが本質的に批判的な研究態度ということになるのだと思いますし,問題把握や理解の深さ,広さに繋がるのだと思います。超然とし過ぎだと言われるかもしれませんが,問題というものは,それがいったんしっかりと把握されたなら,社会が行動を通して,自ずと何らかの解決を見出していくことになる,そうしたものだと思います。
 とはいえ,「言うは易く行うは難し」,これも先人の残した金言です。卒論の評価基準というよりは,論文を執筆する際の「心がけ」だと考えて欲しい,そのように思います。
キーワード1 国家戦略
キーワード2 IMF危機
キーワード3
キーワード4 イノベーション
キーワード5 グローバル化
戻 る
Copyright (C) Doshisha University All Rights Reserved.