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学科 産業関係学科
年度 2012
ゼミ名 上田 眞士
タイトル キャリア教育的側面から考察する“就職活動”
内容 今日の新卒労働市場における就職難問題に私はある違和感を感じている。それは就職難問題に対する世間一般的な認識と私の考えにはズレが生じているからである。私自身が就職活動を行った結果「自己吟味能力が欠如している就活生が近視眼的に将来の展望を描いた結果、大企業志向が強まり特定の企業への就職希望の過度な集中が生じている」ということが就職難の原因ではないかという仮説が私の中に生じた。就活生のこのような特徴が顕著になっている原因は、自己を吟味するのに必要な情報リテラシーが欠如してしまっていることである。この能力が欠如してしまっている就活生は、仕事を選ぶ際に自分の適性への整合性よりも客観的な評価が優先されてしまう。大手企業への過度な就職希望にはこのような背景が存在する。就活生の情報リテラシー力が欠如している原因としては、学校でのキャリア教育が考えられる。私は小学校・中学校・高等学校におけるキャリア教育の拡充こそが重要であると考えるに至った。私が現在のキャリア教育に対して考える課題とは、「“目指す人間像”という共有すべき認識・目標を先生と生徒の間で共有しなければならない」ということである。
講評  提出された卒論テーマを分野別に列挙してみると,「産業空洞化と地域経済」「家電企業の日韓比較」「若者の就職難と非正規雇用」「少子化とワークライフバランス」「貧困問題と生活保護,福祉国家」「プロスポーツ選手のセカンドキャリア」等々となっています。これらのテーマを通覧しただけで,一方での経済や経営のグローバル化の進展,他方国内での格差社会化の展開という,現代日本の雇用社会の諸相が浮かび上がってきます。たしかに,問題の掘り下げや論理的な記述の如何という点では,個々の論文ごとにバラツキもありましたが,基本的には卒論作成という課題に対して,ゼミ生皆が誠実に取り組んでくれた,そのように考えています。ここではゼミ生が取り組んだ卒論作業を締めくくる講評として,どういう論文が優れた論文なのか,研究に際して大事だと思われるポイントを二点ほど指摘しておきたいと思います。
 一つには,政策提言の出来映えにではなく,問題把握や理解の深さ,広さにこそ,論文の命があるということです。そして,いま一つには,そのためにも本質的に批判的な研究であってほしい,そうした要望です。現代の雇用社会の住人である我々が,その雇用社会の一断面を取り上げ,現に存在するものを正面から受け止めようとするわけだから,そこでは必ず何らかの課題意識や問題意識が生まれてくるはずです。そうした現実に対して抱く緊張感を,論理的に整序して記述しようする姿勢が,論文の作成にとってはとりわけ大事だと思います。先人が述べてきたように,一方では,現にあるものをその存在の根拠から「肯定的」に理解すると同時に,他方では現実が抱え込んだ困難や矛盾を考察する「否定的」な把握も必要です。それが本質的に批判的な研究態度ということになるのだと思いますし,問題把握や理解の深さ,広さに繋がるのだと思います。超然とし過ぎだと言われるかもしれませんが,問題というものは,それがいったんしっかりと把握されたなら,社会が行動を通して,自ずと何らかの解決を見出していくことになる,そうしたものだと思います。
 とはいえ,「言うは易く行うは難し」,これも先人の残した金言です。卒論の評価基準というよりは,論文を執筆する際の「心がけ」だと考えて欲しい,そのように思います。
キーワード1 キャリア教育
キーワード2 情報リテラシー
キーワード3 自己吟味力
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