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学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2012 |
ゼミ名 | 越水 雄二 |
タイトル | イタリア学習社会 ―アソチアツィオニズモからみる教育文化― |
内容 | 私は、人の成長において、日々の社会生活の中で、その社会環境から様々な影響を受け、イタリア人独特の国民性が生まれ、大人へとつながるという考えから、一般に「社会教育」と呼ばれる学校教育以外の活動について関心を持った。本論文では、イタリアの教育環境の中で、学校教育制度と学校以外の場に広がる社会文化的な活動や産業現場での教育システムとの2つを合わせた活動の場を「学習社会」と定義する。イタリアの成人教育について検討した上で、独特の国民性が表れているとされる「アソチアツィオニズモ」の概念に注目し、考察した。「人民の家」、「ARCI」などアソチアツィオニズモの実態こそがイタリア学習社会を表すものであり、これらの団体の生涯学習やNPO活動につながる今後の実践こそが、学校制度の面で教育後進国とされても、ならではの教育文化の豊かさを持つイタリアの発展を支えていると言えるのではないだろうか。 |
講評 | 今年度は7名の卒業論文の指導に当った。そのうち5名は、3年次から西洋教育文化史ゼミに学び、4年次で2万字の卒論に取り組んだ者である。他の2名は、3年次は国生寿先生の社会教育および生涯学習ゼミに学んだが、2012年3月をもって先生が定年退職されたため、4年次での1万字の卒業論文作成のみ私から指導を受けた。 西洋教育文化史領域5本の2万字卒論のテーマは、①ルターの学校教育論と当時の文化状況、②チェコの人形アニメーションを特徴とする児童文化、③イタリアにおける社会教育・生涯学習活動の原理としてのアソチアツィオニズモ、④イギリス産業革命期に鉄道が人びとの生活にもたらした変化、⑤ヨーロッパにおける年中行事の人間形成的な意義、というようにバラェティに富んでいた。これらのテーマは、各学生が自分の興味・関心に基づいて自由に設定したものである。 どの論文も、各自の研究成果を分かりやすく論述しようと努力していた点は評価できる。ヨーロッパの歴史・文化・教育などに関心をもつ方には、いずれの論文も興味深く読んでいただけるだろう。ただし、欲張りな注文になるが、せっかく大学で勉強するのだから、日本語文献で調べられる範囲で満足せずに、英語文献の参照はもちろん、それぞれのテーマに応じてドイツ語・イタリア語・チェコ語などの文献からも学んだ内容を、たとえわずかでも卒業論文に活かせるように挑戦して欲しかった。これには今後、卒論への3回生段階からの、より計画的かつ積極的な取り組みを促すようなゼミの指導体制と環境作りを目指して、私自身も工夫しながら取り組んでいきたい。 他方、2本の1万字の卒論は、それぞれ、現代日本の子育て支援政策と、生涯学習の基礎につながる新聞教育の意義とをテーマに、国生先生のゼミで3年次に学んだ成果を基礎にして4年次での研究成果がまとめられていた。 以上7論文の提出へ向けた指導を通じて、今年度も、教員の私にも多くの学びがあったことに深く感謝している。 |
キーワード1 | イタリア |
キーワード2 | 教育 |
キーワード3 | アソチアツィオニズモ |
キーワード4 | 学習社会 |
キーワード5 | 人民の家 |
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