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学科 教育文化学科
年度 2012
ゼミ名 吉田 亮
タイトル 20世紀前半におけるアメリカ日本人移民の越境ネットワーク ―1930年‐1939年、岡山県海外協会を例に
内容  1930年代、アメリカ日本人移民は経済不況、日米関係の悪化、世代継承問題に直面していた。本研究では同県出身者が持つ同胞意識、すなわち県人意識で米国外と繋がるネットワークが移民の活動に影響を与えていたという視点から、岡山県の公的機関であった岡山県海外協会に着目し、その活動姿勢および移民にとっての意義について、岡山県海外協会会報を用いて研究する。同誌の編集権は日本在住の岡山県人にあったが、海外協会は県人の海外発展促進という本来の目的を果たすため、在米県人のニーズを満たす活動を行うことを戦略的に選んだ。そのような岡山県海外協会の性質を活用した在米県人は以下の二点で日本人移民社会に影響を与えた。一点目は県人意識を用いたネットワークを利用することで他のコミュニティ組織には不可能な活動を行い、日本人移民社会が直面する問題への対策アプローチを多元化したこと、二点目はネットワークの情報共有性を利用して他のコミュニティ組織が行う活動の効果範囲を拡大させたことである。このように、在米県人は岡山県海外協会を介して積極的に越境ネットワークを活用することで日本人移民のアメリカ化を促していたのである。
講評 「20世紀前半におけるアメリカ日本人移民の越境ネットワーク-1930年~1939年、岡山県海外協会を例に-」は、これまでのアメリカ日本人移民史研究で掘り下げられてこなかった海外協会が在米の当該県出身移民のアメリカ化活動に及ぼした影響を、1930年代に限定して検討したものである。日本人会や宗教団体のように、移民地に存在するエージェントではなく、日本国内に拠点をもつ海外協会を事例にすることで、越境史的視点が入っている所が本論文の最大の特徴である。
キーワード1 越境ネットワーク
キーワード2 県人意識
キーワード3 県人のアメリカ化
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