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学科 社会学科
年度 2013
ゼミ名 藤本 昌代
タイトル 女性高齢者による万引き増加について――構造的な視点からの考察――
内容 本研究では、急増する女性高齢者の万引きの要因を調べるために、年金の平均受給額や生活保護受給率などの社会保障や有業率、独居率などからマクロな視点で分析を行った。結果として、女性高齢者における経済的な困窮は万引きの増加の要因として大きく関係していることが明らかになった。女性高齢者で万引きの検挙率を増加させているのは70歳以上の女性高齢者が原因であり、彼女たちは有業率の低下、生活保護受給率の上昇、そして独居率の上昇という状況に置かれていた。これらの背後には、男女間の平均寿命の違いという生物的な違いや、戦後日本において浸透した性別役割分業という制度によって、女性が高齢になった時に経済的な困窮に陥る弊害がもたらされるという構造があろう。女性高齢者の万引きを減らすためには、先行研究にあったような孤独な高齢者との関係性を深めていくことだけではなく、経済的な支援の体制を再考する必要があるだろう。また、万引きの再犯率を減らすためには、万引き時における万引き犯にとってのリスクを高めることが有効かもしれない。
講評 本論文は女性高齢者の犯罪に着目したものである。先行研究では女性高齢者の万引きは、社会から隔絶されることによって寂しさを紛らわすための漂流型犯罪と考えられていることが多い中、女性高齢者の貧困が最も大きな原因ではないかという仮説の下、厚生労働省、警察庁、総務省のデータを探索し、検証を行っている。本論文の発見は60代に万引きを経験した人々は初犯が多く、そのまま70代まで継続している可能性が高いこと、男性より女性の方が寿命が長く、その後の年金が少ないため、独居で生活保護を受けなければならない人々が後期高齢者に非常に多いことである。テーマにオリジナリティがあり、仮説検証型で進められた論文に仕上がっている。
キーワード1 女性高齢者
キーワード2 万引き
キーワード3 独居
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