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学科 社会学科
年度 2013
ゼミ名 鵜飼 孝造
タイトル 「日本人のおみやげ観」
内容 庶民の間で旅が娯楽となった江戸時代中期は、おみやげは旅行の証として同じ共同体に住む村人など他者に分配するものであった。この他者に広く分配する日本人のおみやげ観は、当人の思い出用に、また親しい人に購入される海外のスーベニアとは異なった価値観である。しかし昨今、コミュニティの衰退による近所づきあいの減少や、旅の大衆化から、自分で選んだ店でそれぞれの人に合った、その土地にしかないものを購入する、おみやげのスーベニア化が起きているのではないかと考えた。
ゼミ研修旅行参加者を対象に行った、旅行とおみやげの意識調査と購買行動の実態調査の結果、自分、家族、友人用がおみやげの75%を占めていることから、スーベニア化が起きていること、また、写真が思い出を共有する新たなおみやげとしての地位を確立していることが分かった。しかしおみやげがスーベニア化しつつも、旅行中におみやげを買わなければ、という意識が強くあること、そして親戚や近所の人に、また誰に渡すか未定のまま購入する人もみられたことから、広く分配するおみやげ文化は残っているといえるだろう。
講評 近世から現代にいたるおみやげの歴史や現在のおみやげの特徴など、多様な側面からよく調べられているので、読みごたえのある論文になったと思う。その上で、後半はニューヨークでのゼミ旅行で、みんなが何を買ったかについて詳しい調査結果の分析にもなっていて、興味深かった。お金がないとか言いながら、けっこうみんな国内と海外への旅行に年に何度も出かけていて、旅慣れている様子は、50歳代の私の学生時代を思い出すと隔世の感がある。著者が論ずるように、たしかに今の若者が買うおみやげは「旅の思い出」(スーベニア)化しているけれども、私からみるとむしろ日本でも買えるものを、たまたま現地で調達して楽しんでいるようにも見えた。そんな当たり前さが豊かさなのかも知れない。
キーワード1 おみやげ
キーワード2 スーベニア化
キーワード3 分配
キーワード4 共有
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