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学科 | 社会学科 |
年度 | 2013 |
ゼミ名 | 鵜飼 孝造 |
タイトル | 「ゲーム理論研究 ―ナッシュ均衡とその協力へのインプリケーション―」 |
内容 | この論文はゲーム理論を扱う。ゲーム理論は役に立つ道具ではない。ゲーム理論は社会について考えさせてくれる道具である。ゲーム理論は数学者が考えた道具であるが、経済学や政治学、社会心理学のなどのさまざまな社会科学の分野で応用されている。この流れが社会学でも起こってほしいと考えているが社会学特有の概念をゲーム理論で応用することは容易いことではない。このため、この論文はそこまで議論に踏み込まず、戦略的な考え方の説明から始まり、もっとも大切なナッシュ均衡の説明を経て、タイプの異なるゲームにおけるナッシュ均衡の問題を扱い、最後にゲーム理論からどういうことが言えるのかという点で結論をまとめた。ゲーム理論は合理的選択理論をいくぶん現実的なものにしたものと考えている。それは自らの利益だけを重視する合理的個人が行動すればどういう状況が実現してしまうのかということを分析することができる。実際に現実の人間は戦略的な思考を持って行動はしていないが、ゲーム理論をつかえば興味深い結果が得られる。しかし自分一人だけではない、つまり他人もたくさん居る世界では個人の合理性がそのまま合理的な社会が実現するとは限らないということを改めてゲーム理論は教えてくれるのである |
講評 | ゲーム理論を理解した上で、理論的に展開するのは、学部生レベルではむずかしいと考え、まずは代表的な入門書をじっくり読み込んで要約してもらって、その上で自分なりの見解を書くように指導した。著者はそのとおり辛抱強くテキストを読んで、水準を超える理解を示している。著者が最終章で考察しているように、ゲーム理論は私たちが社会的行為において協力することに洞察を与えてくれる。多くのゲームでは、他者に協力することが結果的に自分にとっても利益になる。しかし、多くの人にとってその「利益」が見えにくく、実現不可能に思えるので、なかなか協力に踏み込むことがむずかしい。結果的に少数の「利益集団」の主張が優先される。そうならないように、私たちはより長期的な観点からの戦略的知性を歴史に学ぶ必要があるのではないか。 |
キーワード1 | ナッシュ均衡 |
キーワード2 | 合理的選択理論 |
キーワード3 | 協力と非協力 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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