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学科 | メディア学科 |
年度 | 2013 |
ゼミ名 | 佐伯 順子 |
タイトル | ヴィジュアル系からネオ・ヴィジュアル系への変遷 |
内容 | 90年代後半に日本の音楽シーンを賑わせた“ヴィジュアル系”。しかし、世紀末の訪れとともにヴィジュアル系はメディアやメジャー音楽シーンから姿を消してしまう。そしてそれから数年後、ヴィジュアル系は“ネオ・ヴィジュアル系”という新たな呼称に変化し、私たちは再びメディアでその名前を目にすることになる。本論ではまずヴィジュアル系の定義や起源・歴史を辿り、“ヴィジュアル系”が“ネオ・ヴィジュアル系”へと変遷していった経緯を明らかにする。そして主に音楽面から両者の比較を行い、呼称が変化するほど両者に差異はあるのか、といった疑問の核心に迫っていく。また、多種多様なメディアの中でも今回は新聞にスポットを当て、各紙におけるヴィジュアル系関連の記事数の比較、そして“ヴィジュアル系”時代と“ネオ・ヴィジュアル系”時代それぞれの記事をピックアップし、新聞という媒体におけるヴィジュアル系のあり方についても探っていく。 |
講評 | 佐伯ゼミでは、メディアにおけるジェンダーと、テレビドラマを中心とした映像メディアの研究をゼミの課題としているため、今年度の卒業論文においても、そうした要素を取り入れた論文が提出された。家電製品のCMにみるジェンダーについての卒論、国際結婚の変化をテーマにした卒論は、ジェンダーと深く関連する主題であり、いずれも、六十年代、七十年代から二000年代に至るまで、数十年にわたるCMの登場人物や結婚観の変遷を、資料に即して丹念に追い、高度な実証的成果を得ることができた。CMの卒論は映像資料を駆使し、結婚観に関する卒論は新聞記事を精緻に検索することで、メディア学の方法論を手堅くふまえている点も評価できる。アイドルの変遷についての論文も、日本のメディアにおけるアイドルの萌芽期から、数十年に渡るアイドル像の変化を、具体的なアイドルの年表を作成しつつ詳細に調査している。そもそも欧米の映画スターを中心的対象としていた「アイドル」という表現が、日本の歌手へ、さらに歌手以外のタレント的な存在へと変化したことを、具体的なメディア表象の分析から明らかにしたことは大きな成果といえる。また、二重瞼を理想化する美意識についての研究、薫りとメディアについての研究は、近年の資料を中心に、それぞれ、漫画、テレビCMといったビジュアルなメッセージの分析を取り入れ、アンケート調査も含めて、多角的な議論を展開している。容貌や薫りといった、女性に関係の深いテーマとメディアとの関わりを、社会の価値観とともに精緻に探究した結果、優れた成果をあげた。インターネットにおける炎上の問題を研究した卒論は、メディア学研究の最新の課題としてのインターネットにおけるコミュニケーションの分析に挑んだものであり、先行研究には存在しえない新しい事例や動向を取り入れて論じた点が、重要な成果である。まだ先行研究も少ない課題に取り組んだ姿勢も、高く評価できる。ビジュアル系バンドについての研究は、マニア的な知識を駆使して、音楽文化の研究にメディア学の見地から光をあてたユニークな研究である。ビジュアル系バンドの雑誌についての分析を含めることができれば、さらにメディア学的な視点や方法がいかされたかと思うが、時期区分やジャンルの多様性を、学術的にまとめることに意欲を示した点は評価でき、また、ユーチューブのようなインターネット時代の視聴覚的な資料にも目を通して、細分化されたバンドの詳しい解説を展開している点で、確かな成果がみられる。 |
キーワード1 | 音楽 |
キーワード2 | ヴィジュアル系 |
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