詳細
学科 産業関係学科
年度 2013
ゼミ名 三山 雅子
タイトル 増加するフリーター・NEET問題 ~日英比較から考える~
内容  フリーター・ニートの社会的問題点として、彼らが十分な職業機会を持たないことにより、将来に渡る日本の生産性の低下が懸念される点や、教育段階を終えた後、技能を身に付ける機会を持たない期間が長いほど、正規社員としての就業が困難になる可能性があり、就業能力の格差が拡大する点などが挙げられる。この問題に対する日本の現時点での対策は、低学歴、低所得出身者であることの理解や経済的困窮者に対する対策が不十分である為、このような困難度の高い若者に対して十分な効果があがっていない。
 そこで私は、ニート、フリーターの概念を改めて考察し、NEET(Not in Education, Employment or Training)という造語の発祥地であるイギリスのニートと、その社会的対策を日本のそれと比較した。その結果、イギリスと日本のニートにはいくつかの共通点が存在した。日本に求められる対策は、職場と若者とのミスマッチをなくすための教育機関の指導、インターンシップの奨励、ジョブカフェの設置などを今後も積極的に若者の利益優先で行うことである。その結果、職場と若者のミスマッチは解消でき、全体的なニートとフリーター数を減少させ、問題の解決に向かうと考えた。
 
講評  介護現場への外国人労働者の受け入れ、日本に適した成果主義とは、日本農業とTPP、過労死や長時間労働、教育格差、児童虐待と貧困保育サービスの拡充と保育士の労働、中国の人事システム、大学教育の質向上と構造改革等、今年も卒論のテーマはさまざまであった。テーマはさまざまであるけれど、どの卒論も書いた学生にとっては、そのテーマを選ぶ必然性があるものである事は、卒論授業を通して感じていた。つまりゼミ生の今という時代に対するアンテナは確かに鋭敏なのである。
 しかし、必然的に掲げられたテーマについてどれだけ迫り得たかというと、やはり今年も二極分化していたと思う。毎年、私のゼミではEVE前に卒論の草稿を提出してもらう。その時点で、ネットに漂っている情報を適当にまとめて卒論にしたものとある程度文献にあたって、文献と格闘しながら書いたものに分かれていた。つまり卒論にかけた時間が全く違っていた。つまり、テーマに対する本気度が異なっているように見受けられた。
 なぜこうなってしまうのか。それはやはり学ぶという事に対する浅薄な理解の故ではないかと思う。これは、つまりはそのようなゼミの時間しか皆さんと共有できなかった私の自戒にも他ならないのだが、学ぶことは各種の試験を突破するためであって、どうも働き生きていくこの自分とは無関係と思われているように見える。しかし、学ぶ事は働き生きていく上での最大の武器なのだ。
 皆さんが卒論に取り組み始めた頃に、3年ほど前に卒業したゼミ生が訪ねて来てくれた。彼が担当しているのは京都の中心部の再開発である。中心部の再活性化には女の人がとにかく来てくれる、住んでくれる町にしなければいけないが、なにかそのヒントになる事はないかだろうかといって、会いに来てくれたのだ。その時、彼は手ぶらで来たのではなかった。自分なりに調べたデータをまとめたレジュメを手に現れた。彼が言うには、町の開発には感性が必要であることは間違いないけど、これだっという感覚を説得的に他者に伝えるには論理、つまりデータが必要不可欠だからだそうだ。
 彼の作ったレジュメをみた時、産業関係実習での発表と似たことをしているのだと思った。もちろん単なる発表ではない。それによって組織が動き、お金が投下され、事実として町が変わる。そういう意味では学校の勉強とは違う。しかし、そこで彼が使用している手法は間違いなく大学で身につけた事と重なっていた。
 
キーワード1 NEET
キーワード2 ニート
キーワード3 イギリス
キーワード4 若年労働者
キーワード5  
戻 る
Copyright (C) Doshisha University All Rights Reserved.