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学科 産業関係学科
年度 2013
ゼミ名 寺井 基博
タイトル 事例研究から考察する人事ルールに潜む経営理念
内容 本論文は2つの思いをもって書かれている。1つは産業関係学科で学んだ、物事を考える時の考え方を真似ることだ。特に本論文では学生時代に最も理解に苦しめられた石田=樋口(2009)『人事制度の日米比較』から学んだ考え方を使用したい。私が同書物から学んだ最も重要な考え方は、「企業は市場に最大限に応えるために様々な経験の中で制度を設置している」ということだった。
 もう1つは、これから自分が働くことになる株式会社ニトリ(以下、ニトリと略)のことをもっと知りたいという思いがあった。私が就職活動を行った際、他の企業と比較して最も特徴ある制度だと感じていた「異動・配転」「キャリア制度」について、何を目的に、どの様な仕組みを作り、それがどの様に機能しているのかということの現状把握と背景にある構造、何故そこに至ったのかという事をまとめてみたかった。
 本論文はこうした思いをもって、私がこれまでの大学教育の中で蓄積してきたこと、経験してきたことを文献としてまとめたものである。

 第Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ章では、石田=樋口(2009)『人事制度の日米比較』から学んだ人事制度の設置に至る考え方を述べ、本論文で立証したい仮設の設定とどの様に分析するのかというモデルを構築する。
 続いて第Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ章では、現在企業で運用されている人事制度を実態調査し、調査した人事制度の特徴を提示する。また、調査した人事制度と双対的原理で運用されている人事制度を挙げ、分析する為の要素を揃える。
 第Ⅶ・Ⅷ章では、第Ⅲ章で提示した分析モデルに従い、人事制度に潜む経営理念を述べる。
講評  提出された論文のタイトルは、「日本における『成果主義』の再考察」「ブラック企業の定義とその実態-労働者にとっての良き企業とは」「心理的契約から見る労働契約」「サラリーマンが抱える問題」「高等学校におけるキャリア教育はなぜ根づかないのか」「日本における外国人労働者の現状と課題」等々。関心のある内容なら全力で取り組むことができるのではないかと考えてテーマは自由としたが、概ね労働領域のものであった。
 事前の指導として、独自の見解や解決策を書く必要はなく、自分が選んだテーマについて考え抜いたことを書くように勧めた。自分の考えを書くといっても、まずは先行研究を読んで、議論の枠組みや主要な論点を把握しなければならない。また、論文の作法として、他者と自己との見解を峻別しなければならない。ここで多くの学生が戸惑うのは、先行研究の中ですでに殆どすべてのことが書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのかということだ。
 答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。この作業そこが分析であり、その結果が「読み手の考え」に他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。
 また、社会問題をテーマとした論文では解決策や提案を書かなければならないと思ってしまいがちだが、決してそうではない。とくに雇用領域における問題(長時間労働や正規・非正規雇用の格差など)は、「第一線の実務家の努力をもってしてもなお解決できていない」ということであり、それを分かることが何よりも大切である。卒業論文の執筆を通して上記のことに気づいたとすれば、それは大きな収穫である。
 提出された論文は、思索的なもの、地道な努力が光るもの、苦悶の跡が窺われるものなど多彩であったが、いずれもそこには「現在の自分」が現れている。確かに、考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど荒削りな面はある。しかし、筆者の思いが切々と綴られた部分は、自ずと読む者を惹きつける。それは自分自身との対話の深さによるものだろう。卒業論文の自分を起点として、社会人として新たなスタートを切ってもらいたい。
キーワード1 人事制度
キーワード2 経営理念
キーワード3 チェーンストア
キーワード4 制度比較
キーワード5  
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