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学科 産業関係学科
年度 2013
ゼミ名 寺井 基博
タイトル インドネシアの個人消費について
内容 著しい経済成長を遂げ、世界的に注目されているインドネシア。近い将来、GDPで日本を越えると予想する金融機関が存在するほど、期待値は高い。成長の源の一つに「個人消費」が挙げられる。同国の個人消費は、景気に左右されず旺盛である。背景には、ゲンシと呼ばれる同国特有の概念と、拡大する中間層の存在が大きく影響している。また、個人消費の拡大に伴い、自動車・二輪車・イスラーム・教育などの商品に対する需要が高まってきている。2010~2030年頃まで、同国は人口ボーナス期(=個人消費などを加速させ得る期間)を迎える。このチャンスを活かすためには、出生率の低下・生産年齢人口層への雇用提供・安定した政治が要求される。それぞれ課題はある。しかし、ユヨドノ大統領が、長年の課題であった民主主義を確立させ、政策にコンセンサスを落とし込める仕組みをつくり上げた。政治体制の確立と政策の方向性が定まったことは、大きな前進だ。人口ボーナスを活かし、今後も個人消費を増加させる可能性は高まってきたのではないか。
講評  提出された論文のタイトルは、「日本における『成果主義』の再考察」「ブラック企業の定義とその実態-労働者にとっての良き企業とは」「心理的契約から見る労働契約」「サラリーマンが抱える問題」「高等学校におけるキャリア教育はなぜ根づかないのか」「日本における外国人労働者の現状と課題」等々。関心のある内容なら全力で取り組むことができるのではないかと考えてテーマは自由としたが、概ね労働領域のものであった。
 事前の指導として、独自の見解や解決策を書く必要はなく、自分が選んだテーマについて考え抜いたことを書くように勧めた。自分の考えを書くといっても、まずは先行研究を読んで、議論の枠組みや主要な論点を把握しなければならない。また、論文の作法として、他者と自己との見解を峻別しなければならない。ここで多くの学生が戸惑うのは、先行研究の中ですでに殆どすべてのことが書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのかということだ。
 答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。この作業そこが分析であり、その結果が「読み手の考え」に他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。
 また、社会問題をテーマとした論文では解決策や提案を書かなければならないと思ってしまいがちだが、決してそうではない。とくに雇用領域における問題(長時間労働や正規・非正規雇用の格差など)は、「第一線の実務家の努力をもってしてもなお解決できていない」ということであり、それを分かることが何よりも大切である。卒業論文の執筆を通して上記のことに気づいたとすれば、それは大きな収穫である。
 提出された論文は、思索的なもの、地道な努力が光るもの、苦悶の跡が窺われるものなど多彩であったが、いずれもそこには「現在の自分」が現れている。確かに、考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど荒削りな面はある。しかし、筆者の思いが切々と綴られた部分は、自ずと読む者を惹きつける。それは自分自身との対話の深さによるものだろう。卒業論文の自分を起点として、社会人として新たなスタートを切ってもらいたい。
キーワード1 個人消費
キーワード2 ゲンジ
キーワード3 中間層
キーワード4 人口ボーナス
キーワード5 民主主義
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