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学科 産業関係学科
年度 2013
ゼミ名 上田 眞士
タイトル 観光・金融業から見たシンガポールと人材育成
内容 本論文では、近年様々な面から注目を浴びているシンガポール共和国の現状に迫りたい。国土面積も人口も日本と比べて非常に矮小な国にもかかわらず、金融業の面においては、香港と並ぶ金融センターとしての地位を如何にして確立している。観光業においても、世界の国々と比べて、国土面積や観光資源が少ないにも関わらず、どのようにして世界有数の業績をあげている。・では、シンガポール経済の歴史について言及している。・では、経済発展の最も重要な基礎となってくる教育制度、教育制度を通じた人材形成についての考察を述べている。・では、国際金融センターになった経緯やイスラム金融の振興など、シンガポールの金融振興策とシンガポール独自の課題について言及している。・では、シンガポール独自の観光政策や日本との違い、観光特性などについて言及している。・では、近年のシンガポールでの更なる発展分野と今後の課題について述べている。
講評  提出された卒論テーマを分野別に列挙してみると,「日本の家電産業復活の鍵」「日系企業の海外進出と現地化」「ブラック企業・名ばかり管理職・新卒採用問題」「女性雇用と育休問題」「マネジメント・リーダーシップ」等々となっています。これらのテーマに表出しているものは,一方での経済や経営のグローバル化の進展,また他方では国内での種々の労働問題の発生という,現代日本の雇用社会が展開しているダイナミズム,そこでの当事者たちの苦闘に他なりません。たしかに個々の論文ごとに,問題の掘り下げや論理的な記述という点では精粗もありました。しかし基本的には,卒論作成という課題に対して,困難な就職活動の中でもゼミ生皆が誠実に取り組んでくれた,そのように考えています。そこで,ここでは一年を通した卒論作業を締めくくる講評として,研究や考察に際して私が大事だと思うポイントを,簡単に指摘しておきたいと思います。
 大切なことは,論文の良し悪しの重点は政策提言の出来映えにではなく,問題把握や理解の深さ,広さにこそあるのだということです。そして,そのためにも本質的に批判的な研究や考察態度を持って欲しい,そうした要望です。それは決して簡単なことではありませんが,これまで先人が強調してきたように,一方では現にあるものをその存在の根拠から「肯定的」に理解すると同時に,他方ではその抱え込まざるをえなかった困難や矛盾から現実を「否定的」に理解する,そうした現実への接近態度のことなのだと思います。少しかみ砕き過ぎかもしれませんが,ただ単に日本的雇用の非を鳴らすだけではつまらない,なぜ現実はそうたらざるをえないのか,そこにまで問題把握を広め深めて欲しい,あるいは,ただ単に日本的経営を称賛するだけではつまらない,それが自らの体内に抱え込んだ病理にまで洞察の目を向けて欲しい,そういうことになるでしょう。要するに,現実は必ず緊張や葛藤を孕んでいます。その緊張や葛藤にこそ,考察の焦点があるのだということです。将来への展望(≠「政策提言」)も,実はそうした緊張や葛藤に目を凝らしてこそ,はじめて見えて来るはずのものだと思います。
 とはいえ,「言うは易く行うは難し」,これも先人の残した金言です。卒論の評価基準というよりは,論文を執筆する際の心がけだと考えて欲しい,そのように思います。    <以上> 
キーワード1 エリート教育
キーワード2 適応力
キーワード3 内外分離型
キーワード4 リピーター
キーワード5  
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