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学科 産業関係学科
年度 2013
ゼミ名 上田 眞士
タイトル 少子高齢化社会における労働力確保
内容 日本は現在、「人口減少社会」である。その大きな要因の一つであるのが少子高齢化である。少子高齢化は医学の進歩や食の栄養価の向上などによって平均寿命が上昇し、一方で出生率が下がったため、総人口に占める子供の割合が減り、65歳以上の高齢者の割合が増えるというものである。医学の進歩はさらに進み、平均寿命はこれからも上昇し続けると予想され、一方で出生も今後大きく上昇する見込みは無いため、少子高齢化は今後も進行すると考えられる。少子高齢化社会は労働力人口の減少を引き起こし、労働力人口をどのように補うかが課題となる。そこで少子高齢化社会における労働力不足に対する労働力の確保として女性の積極的活用、高齢者の再雇用または定年延長、外国人労働者の受け入れといった3つの策を提案する。それぞれの策において労働力確保として採用すべきであるのかを見極め、採用すべきであると判断した場合はどのような施策を行うことで新たな労働力として機能するのかということに注目する。
講評  提出された卒論テーマを分野別に列挙してみると,「日本の家電産業復活の鍵」「日系企業の海外進出と現地化」「ブラック企業・名ばかり管理職・新卒採用問題」「女性雇用と育休問題」「マネジメント・リーダーシップ」等々となっています。これらのテーマに表出しているものは,一方での経済や経営のグローバル化の進展,また他方では国内での種々の労働問題の発生という,現代日本の雇用社会が展開しているダイナミズム,そこでの当事者たちの苦闘に他なりません。たしかに個々の論文ごとに,問題の掘り下げや論理的な記述という点では精粗もありました。しかし基本的には,卒論作成という課題に対して,困難な就職活動の中でもゼミ生皆が誠実に取り組んでくれた,そのように考えています。そこで,ここでは一年を通した卒論作業を締めくくる講評として,研究や考察に際して私が大事だと思うポイントを,簡単に指摘しておきたいと思います。
 大切なことは,論文の良し悪しの重点は政策提言の出来映えにではなく,問題把握や理解の深さ,広さにこそあるのだということです。そして,そのためにも本質的に批判的な研究や考察態度を持って欲しい,そうした要望です。それは決して簡単なことではありませんが,これまで先人が強調してきたように,一方では現にあるものをその存在の根拠から「肯定的」に理解すると同時に,他方ではその抱え込まざるをえなかった困難や矛盾から現実を「否定的」に理解する,そうした現実への接近態度のことなのだと思います。少しかみ砕き過ぎかもしれませんが,ただ単に日本的雇用の非を鳴らすだけではつまらない,なぜ現実はそうたらざるをえないのか,そこにまで問題把握を広め深めて欲しい,あるいは,ただ単に日本的経営を称賛するだけではつまらない,それが自らの体内に抱え込んだ病理にまで洞察の目を向けて欲しい,そういうことになるでしょう。要するに,現実は必ず緊張や葛藤を孕んでいます。その緊張や葛藤にこそ,考察の焦点があるのだということです。将来への展望(≠「政策提言」)も,実はそうした緊張や葛藤に目を凝らしてこそ,はじめて見えて来るはずのものだと思います。
 とはいえ,「言うは易く行うは難し」,これも先人の残した金言です。卒論の評価基準というよりは,論文を執筆する際の心がけだと考えて欲しい,そのように思います。    <以上> 
キーワード1 出生率の低下
キーワード2 再雇用
キーワード3 定年延長
キーワード4 少子高齢化
キーワード5  
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