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学科 産業関係学科
年度 2013
ゼミ名 上田 眞士
タイトル 中国における日系企業の現地化について
内容 2001年の中国のWTO加盟後、中国の経済が急速に成長し、世界各国の企業は中国に進出し、投資活動が行われた。また、近年中国の様々な法律が整備されて、経営環境が大きく変わった。「世界の工場」から「世界の市場」になって、企業間の競争が激しくなった。中国の市場を理解した対応や企業経営が必要になり、企業の現地化は中国における多国籍企業に求めるようになった。しかし、日系企業が欧米企業に比べて現地化が遅れている。特に「ヒトの現地化」である。その原因は日系企業の人事管理・育成方法が年功序列的なものとなっており、中国人が望むような「能力・成果主義」的な人材育成方法をとっていないため、有能な人材・潜在能力のある人材に魅力の乏しいものとなっているから。本論文では、日系企業が「ヒトの現地化」の原因を分析し、中国企業の成功例から参考になる例を挙げ、厳しい競争の中で生き残るために、日系企業は人材育成の重要性を見直す必要がある。
講評  提出された卒論テーマを分野別に列挙してみると,「日本の家電産業復活の鍵」「日系企業の海外進出と現地化」「ブラック企業・名ばかり管理職・新卒採用問題」「女性雇用と育休問題」「マネジメント・リーダーシップ」等々となっています。これらのテーマに表出しているものは,一方での経済や経営のグローバル化の進展,また他方では国内での種々の労働問題の発生という,現代日本の雇用社会が展開しているダイナミズム,そこでの当事者たちの苦闘に他なりません。たしかに個々の論文ごとに,問題の掘り下げや論理的な記述という点では精粗もありました。しかし基本的には,卒論作成という課題に対して,困難な就職活動の中でもゼミ生皆が誠実に取り組んでくれた,そのように考えています。そこで,ここでは一年を通した卒論作業を締めくくる講評として,研究や考察に際して私が大事だと思うポイントを,簡単に指摘しておきたいと思います。
 大切なことは,論文の良し悪しの重点は政策提言の出来映えにではなく,問題把握や理解の深さ,広さにこそあるのだということです。そして,そのためにも本質的に批判的な研究や考察態度を持って欲しい,そうした要望です。それは決して簡単なことではありませんが,これまで先人が強調してきたように,一方では現にあるものをその存在の根拠から「肯定的」に理解すると同時に,他方ではその抱え込まざるをえなかった困難や矛盾から現実を「否定的」に理解する,そうした現実への接近態度のことなのだと思います。少しかみ砕き過ぎかもしれませんが,ただ単に日本的雇用の非を鳴らすだけではつまらない,なぜ現実はそうたらざるをえないのか,そこにまで問題把握を広め深めて欲しい,あるいは,ただ単に日本的経営を称賛するだけではつまらない,それが自らの体内に抱え込んだ病理にまで洞察の目を向けて欲しい,そういうことになるでしょう。要するに,現実は必ず緊張や葛藤を孕んでいます。その緊張や葛藤にこそ,考察の焦点があるのだということです。将来への展望(≠「政策提言」)も,実はそうした緊張や葛藤に目を凝らしてこそ,はじめて見えて来るはずのものだと思います。
 とはいえ,「言うは易く行うは難し」,これも先人の残した金言です。卒論の評価基準というよりは,論文を執筆する際の心がけだと考えて欲しい,そのように思います。    <以上> 
キーワード1 現地化
キーワード2 人事制度
キーワード3 成果主義
キーワード4 経済発展
キーワード5  
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