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学科 産業関係学科
年度 2014
ゼミ名 寺井 基博
タイトル 「優良企業としてのファミリービジネス企業の存在条件について」
内容  本論文で数多くの企業の中でも大多数を占めるファミリービジネス企業について考察を行う。ファミリービジネス企業は閉鎖的な経営を行い、各メディアを通してファミリービジネス企業が起こした不祥事が報じられて世間のファミリービジネス企業に対する評価は良いとは言えないだろう。しかしながら老舗企業として有名な企業ファミリービジネス企業も存在しており、不祥事を起こした企業と優良なファミリービジネス企業との比較を行いつつ企業の存続に必要な要素を検証していく。
 序盤では実際に不祥事を起こした企業の例として赤福とパロマの事件の検証を行う。次に「エクセレント・カンパニー」(優良な経営を行う企業)というキーワードを基に、実際にその要件を満たしているヒューレッド・パッカード社の成り立ちや経営方針を検証し、優良企業に求められる条件を検証した。そして最後では成功しているファミリー企業の1例としてキッコーマンの成り立ちや経営方針を検証しつつ、序盤で挙げた赤福やパロマとの比較を行った上で、ファミリービジネス企業に求められる要素についての検証を行う。
講評  提出された論文のタイトルは、「働くということ」「日本の人事制度変遷」「労働法における男女平等の現状と課題」、「プロ野球選手の労働者性」「障害者に対する施策の矛盾」、「ホワイトカラー・エグゼンプション導入に関する考察」「カンボジアPKOと現在」等々多彩であった。卒業論文は自分自身と向き合う作業にほかならないので、関心のあるテーマならば全力で取り組むことができるだろうとテーマは自由とした。        
 卒業論文の作成にあたって、①オリジナルな分析や見解あるいは政策提言を書く必要はなく、②先行文献を丹念に読み込んで、③それらの見解を論文の形式に沿って整理するように指導した。①でオリジナルな見解や分析を求めないのは、それを気にするあまりに何も書けなくなるからである。卒業論文では、既知の分析結果や見解を自らの判断によって再整理して体系づけることに意味がある。その整理の在り様が各自の考えとなる。
 大切なことは、すでに知っている事実や分かっている見解であっても、その事実や見解は過去に本やウェブ等を通じて得られた知見であり、自分自身のオリジナルな発見や指摘ではないことを自覚することである。それがいつどこで誰によって最初に発見・指摘されたかを明らかにするために出典を明らかにしなければならない。この点に気を付けて文献を整理すれば、基本的に「論文」の形式になる。
 ここまで説明すると、複数の学生からつぎの質問が寄せられる。先行研究の中ですでに書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのか、いや何も書けない、という内容だ。答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。これらの作業そこが分析であり、読み手の考えに他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。
今回提出された各論文は、概ね上記の点について一定基準を上回っている。考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど、荒削りな面はある。しかし、地道な努力が実を結んだ論文や先行文献の整理を踏まえて筆者の思いが切々と綴られた論文が複数見られた。それらは自分自身との対話の深さによるものであり、それが自ずと読む者を惹きつける。


キーワード1 ファミリービジネス企業
キーワード2 不祥事
キーワード3 エクセレント・カンパニー
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