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学科 産業関係学科
年度 2014
ゼミ名 寺井 基博
タイトル 「ホワイトカラー・エグゼンプション導入に関する考察」
内容 本稿では、現在日本で導入されようとしているホワイトカラー・エグゼンプションに焦点を当て、先行研究やこれまでされてきた議論等を踏まえて、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入がどのような影響を持ち、現在起こっている問題を解決するのかについて考察した。
 ホワイトカラー・エグゼンプションは、元々アメリカの制度であり、一定の条件を満たすホワイトカラーに対して、労働時間等の労働法上の規制を免除・緩和する制度である。この制度に対して日本では長く議論が行われてきたが、導入には至っていない。その理由として、経団連をはじめとする導入賛成派と全労連などの導入反対派との間で議論が平行線をたどっていることが挙げられる。
 ホワイトカラー・エグゼンプション導入の是非は、その影響の大きさだけでなく現行の労働時間法制の問題点を考慮しなければならない。本稿では、現在の労働時間法制で起こっている法と実態の溝があるといえる問題を挙げ、その視点からホワイトカラー・エグゼンプション導入に関して考察を試みた。結論として、日本でホワイトカラー・エグゼンプションを導入してもうまく機能しないとし、導入をするべきではないとした。
講評  提出された論文のタイトルは、「働くということ」「日本の人事制度変遷」「労働法における男女平等の現状と課題」、
「プロ野球選手の労働者性」「障害者に対する施策の矛盾」、「ホワイトカラー・エグゼンプション導入に関する考察」
「カンボジアPKOと現在」等々多彩であった。卒業論文は自分自身と向き合う作業にほかならないので、関心のある
テーマならば全力で取り組むことができるだろうと考えてテーマは自由とした。 
 卒業論文の作成にあたって、①オリジナルな分析や見解あるいは政策提言を書く必要はなく、②先行文献を丹念に読み込んで、③それらの見解を論文の形式に沿って整理するように指導した。①でオリジナルな見解や分析を求めないのは、それを気にするあまりに何も書けなくなるからである。卒業論文では、既知の分析結果や見解を自らの判断によって再整理して体系づけることに意味がある。その整理の在り様が各自の考えとなる。
 大切なことは、すでに知っている事実や分かっている見解であっても、その事実や見解は過去に本やウェブ等を通じて得られた知見であり、自分自身のオリジナルな発見や指摘ではないことを自覚することである。それがいつどこで誰によって最初に発見・指摘されたかを明らかにするために出典を明らかにしなければならない。この点に気を付けて文献を整理すれば、基本的に「論文」の形式になる。
 ここまで説明すると、複数の学生からつぎの質問が寄せられる。先行研究の中ですでに書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのか、いや何も書けない、という内容だ。答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。これらの作業そこが分析であり、読み手の考えに他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。
 今回提出された各論文は、概ね上記の点について一定基準を上回っている。考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど、荒削りな面はある。しかし、地道な努力が実を結んだ論文や先行文献の整理を踏まえて筆者の思いが切々と綴られた論文が複数見られた。それらは自分自身との対話の深さによるものであり、それが自ずと読む者を惹きつける。
キーワード1 ホワイトカラー・エグゼンプション
キーワード2 労働時間規制
キーワード3 裁量労働制
キーワード4 管理監督者
キーワード5 サービス残業
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