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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2014 |
ゼミ名 | 寺井 基博 |
タイトル | 「プロ野球選手の労働者性」 |
内容 | 今回、日本の「プロ野球選手の労働者性」について議論を展開した。プロ野球選手の労働者性の有無は、未だにはっきりとした結論が出ていない。その原因として考えられることが、法律によって労働者性の判断基準が異なっていることや、プロ野球選手という特殊な職業によるものである。第1章、第2章では「労働基準法」「労働組合法」「契約形式」における労働者性の判断基準を明確にすることと、プロ野球選手の特殊性を明確にすることを行った。第3章では、プロ野球選手はそれぞれの法律において労働者性が認められるのかを考察した。労働基準法においては、「使用従属性」と「賃金の支払い」の二つを労働者性の有無を判断する主な基準とし、労働者性を認めることができることを示唆した。しかしながら、プロ野球選手の特徴である高額な年俸はあまりに労働者としての性格から逸脱しているため、労働者性の有無を断言することは避けざるを得なかった。契約形式による労働者性の判断においては、主張の内容に労働基準法上の労働者性を判断する材料があるか模索し、また、その主張によって労働者性の判断が可能であるかを考察した。しかしながら、有力な主張は得られなかった。労働組合法においては、日本プロ野球選手会が労働組合として認められていることから、労働者性を認める判断を下した。 |
講評 | 提出された論文のタイトルは、「働くということ」「日本の人事制度変遷」「労働法における男女平等の現状と課題」、 「プロ野球選手の労働者性」「障害者に対する施策の矛盾」、「ホワイトカラー・エグゼンプション導入に関する考察」 「カンボジアPKOと現在」等々多彩であった。卒業論文は自分自身と向き合う作業にほかならないので、関心のあるテー マならば全力で取り組むことができるだろうと考えてテーマは自由とした。 卒業論文の作成にあたって、①オリジナルな分析や見解あるいは政策提言を書く必要はなく、②先行文献を丹念に読み込んで、③それらの見解を論文の形式に沿って整理するように指導した。①でオリジナルな見解や分析を求めないのは、それを気にするあまりに何も書けなくなるからである。卒業論文では、既知の分析結果や見解を自らの判断によって再整理して体系づけることに意味がある。その整理の在り様が各自の考えとなる。 大切なことは、すでに知っている事実や分かっている見解であっても、その事実や見解は過去に本やウェブ等を通じて 得られた知見であり、自分自身のオリジナルな発見や指摘ではないことを自覚することである。それがいつどこで誰によって最初に発見・指摘されたかを明らかにするために出典を明らかにしなければならない。この点に気を付けて文献を整理すれば、基本的に「論文」の形式になる。 ここまで説明すると、複数の学生からつぎの質問が寄せられる。先行研究の中ですでに書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのか、いや何も書けない、という内容だ。答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。これらの作業そこが分析であり、読み手の考えに他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。 今回提出された各論文は、概ね上記の点について一定基準を上回っている。考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど、荒削りな面はある。しかし、地道な努力が実を結んだ論文や先行文献の整理を踏まえて筆者の思いが切々と綴られた論文が複数見られた。それらは自分自身との対話の深さによるものであり、それが自ずと読む者を惹きつける。 |
キーワード1 | 労働基準法 |
キーワード2 | 労働組合法 |
キーワード3 | 契約形式 |
キーワード4 | プロ野球選手の 特殊性 |
キーワード5 | |
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