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学科 産業関係学科
年度 2014
ゼミ名 寺井 基博
タイトル 「ワーク・ライフ・バランスが機能しない理由 -労働時間と日本の働き方」
内容 日本の労働環境にて現在大きく注目されているのがワーク・ライフ・バランスと呼ばれる仕事と
私生活の両立である。日本に潜む社会問題の解決や労働者自身のインセンティブの上昇などの
効果が期待され、就職活動や広報におけるにPRなど、もはや経営戦略の一つの手段とも捉えられるほどに大きな意味を持つ言葉となった。しかしながら一方で、長時間労働やブラック企業といった、ワーク・ライフ・バランスを実践できない特徴を持っている会社が多いという、日本企業の実情があるのもまた然りである。
 社会の変化から、特に大企業においてワーク・ライフ・バランスにまつわる制度が構築されつつある今日であるが、果たしてそれは実際に機能するものなのか、今まで長時間労働などが行われてきた日本の労働体制を覆せるものなのか、日本の働き方における労働時間や、法律の仕組みを踏まえて日本のワーク・ライフ・バランスの機能性を考察する。
講評 提出された論文のタイトルは、「働くということ」「日本の人事制度変遷」「労働法における男女平等の現状と課題」、
「プロ野球選手の労働者性」「障害者に対する施策の矛盾」、「ホワイトカラー・エグゼンプション導入に関する考察」
「カンボジアPKOと現在」等々多彩であった。卒業論文は自分自身と向き合う作業にほかならないので、関心のあるテー
マならば全力で取り組むことができるだろうと考えてテーマは自由とした。
 卒業論文の作成にあたって、①オリジナルな分析や見解あるいは政策提言を書く必要はなく、②先行文献を丹念に読み込んで、③それらの見解を論文の形式に沿って整理するように指導した。①でオリジナルな見解や分析を求めないのは、それを気にするあまりに何も書けなくなるからである。卒業論文では、既知の分析結果や見解を自らの判断によって再整理して体系づけることに意味がある。その整理の在り様が各自の考えとなる。
 大切なことは、すでに知っている事実や分かっている見解であっても、その事実や見解は過去に本やウェブ等を通じて得られた知見であり、自分自身のオリジナルな発見や指摘ではないことを自覚することである。それがいつどこで誰によって最初に発見・指摘されたかを明らかにするために出典を明らかにしなければならない。この点に気を付けて文献を整理すれば、基本的に「論文」の形式になる。
ここまで説明すると、複数の学生からつぎの質問が寄せられる。先行研究の中ですでに書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのか、いや何も書けない、という内容だ。答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。これらの作業そこが分析であり、読み手の考えに他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。
 今回提出された各論文は、概ね上記の点について一定基準を上回っている。考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど、荒削りな面はある。しかし、地道な努力が実を結んだ論文や先行文献の整理を踏まえて筆者の思いが切々と綴られた論文が複数見られた。それらは自分自身との対話の深さによるものであり、それが自ずと読む者を惹きつける。
キーワード1 ワーク・ライフ・バランス
キーワード2  労働時間
キーワード3 意識改革
キーワード4 労働法
キーワード5 等級制度
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