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学科 産業関係学科
年度 2014
ゼミ名 寺井 基博
タイトル 「精神障害者の雇用の現状-法定雇用率の 義務化は精神障害者にとって本当に良いのかー」
内容  近年障害者の雇用者数が過去最高を更新していく中で、精神障害者の雇用が今最も注目されている。昨年の障害者雇用率を見てみると、身体の4.4%増や知的の11.0%と比べて、精神障害者の雇用率は33.8%と群を抜いているのである。そして、精神障害者は2018年4月に法定雇用率が義務化されることにより、さらに雇用の領域が広がるなど精神障害者の雇用は以前と比べて追い風の状況になることが予想されている。
 しかし、現状では精神障害者ということを明確にする「精神障害者保健福祉手帳」を隠して勤務していることや離職率が身体や知的障害者に比べて高いこと、さらに事業主側の精神障害者の方に対する偏見などが問題視されている。このような状況の中で、法定雇用率が義務化されることは、果たして彼らにとって本当に追い風になるのだろうかと私は考える。
 そこで、本論文ではこれらの問題の現状や精神障害者雇用の就労支援の実態などを研究していく。そこで、精神障害者にとって法定雇用率の義務化は本当に良いのだろうか、またこれから精神障害者の方が長く働ける環境を整備するにはどうしたら良いのだろうかということを考察する。
講評  提出された論文のタイトルは、「働くということ」「日本の人事制度変遷」「労働法における男女平等の現状と課題」、
「プロ野球選手の労働者性」「障害者に対する施策の矛盾」、「ホワイトカラー・エグゼンプション導入に関する考察」
「カンボジアPKOと現在」等々多彩であった。卒業論文は自分自身と向き合う作業にほかならないので、関心のあるテー
マならば全力で取り組むことができるだろうと考えてテーマは自由とした。
 卒業論文の作成にあたって、①オリジナルな分析や見解あるいは政策提言を書く必要はなく、②先行文献を丹念に読み込んで、③それらの見解を論文の形式に沿って整理するように指導した。①でオリジナルな見解や分析を求めないのは、それを気にするあまりに何も書けなくなるからである。卒業論文では、既知の分析結果や見解を自らの判断によって再整理して体系づけることに意味がある。その整理の在り様が各自の考えとなる。
 大切なことは、すでに知っている事実や分かっている見解であっても、その事実や見解は過去に本やウェブ等を通じて得られた知見であり、自分自身のオリジナルな発見や指摘ではないことを自覚することである。それがいつどこで誰によって最初に発見・指摘されたかを明らかにするために出典を明らかにしなければならない。この点に気を付けて文献を整理すれば、基本的に「論文」の形式になる。
 ここまで説明すると、複数の学生からつぎの質問が寄せられる。先行研究の中ですでに書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのか、いや何も書けない、という内容だ。答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。これらの作業そこが分析であり、読み手の考えに他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。
 今回提出された各論文は、概ね上記の点について一定基準を上回っている。考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど、荒削りな面はある。しかし、地道な努力が実を結んだ論文や先行文献の整理を踏まえて筆者の思いが切々と綴られた論文が複数見られた。それらは自分自身との対話の深さによるものであり、それが自ずと読む者を惹きつける。
キーワード1 精神障害者雇用
キーワード2 法定雇用率
キーワード3 精神障害者保健福祉手帳
キーワード4 働きやすい職場
キーワード5 企業の偏見
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