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学科 産業関係学科
年度 2014
ゼミ名 寺井 基博
タイトル 「労働者派遣について考える-規制緩和の議論を中心に-」
内容 労働者派遣法は公布、施行されてから、約30年の月日が経つ。施行された当時は原則として労働者派遣を禁じ、例外的に認める業務を規定していたが、徐々に政府が規制緩和の方針を進めたことで、労働者派遣が原則解禁となり、労働者派遣が認められる業務の範囲が次第に拡大していく結果となる。この規制緩和により、企業は景気の良し悪しによって、人材の資源を自由にコントロールしやすくなった一方で、日雇い派遣の問題や製造業における偽装請負の問題などの弊害が生じていった。今日でもこれらの問題はメディアでもよく取り上げられ、なかなか解決の糸口が見つからない課題として存在している。したがって、派遣労働自体に否定的な見方を行う識者も少なくない。本論文では、1985年の派遣法制定から2012年までの法改正に至る経緯や内容を紹介し、労働者派遣の今後の行方を決める規制緩和の議論を中心にみながら労働者派遣についての考察を行いたい。
講評  提出された論文のタイトルは、「働くということ」「日本の人事制度変遷」「労働法における男女平等の現状と課題」、
「プロ野球選手の労働者性」「障害者に対する施策の矛盾」、「ホワイトカラー・エグゼンプション導入に関する考察」
「カンボジアPKOと現在」等々多彩であった。卒業論文は自分自身と向き合う作業にほかならないので、関心のあるテー
マならば全力で取り組むことができるだろうと考えてテーマは自由とした。
 卒業論文の作成にあたって、①オリジナルな分析や見解あるいは政策提言を書く必要はなく、②先行文献を丹念に読み込んで、③それらの見解を論文の形式に沿って整理するように指導した。①でオリジナルな見解や分析を求めないのは、それを気にするあまりに何も書けなくなるからである。卒業論文では、既知の分析結果や見解を自らの判断によって再整理して体系づけることに意味がある。その整理の在り様が各自の考えとなる。
 大切なことは、すでに知っている事実や分かっている見解であっても、その事実や見解は過去に本やウェブ等を通じて得られた知見であり、自分自身のオリジナルな発見や指摘ではないことを自覚することである。それがいつどこで誰によって最初に発見・指摘されたかを明らかにするために出典を明らかにしなければならない。この点に気を付けて文献を整理すれば、基本的に「論文」の形式になる。
ここまで説明すると、複数の学生からつぎの質問が寄せられる。先行研究の中ですでに書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのか、いや何も書けない、という内容だ。答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。これらの作業そこが分析であり、読み手の考えに他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。
 今回提出された各論文は、概ね上記の点について一定基準を上回っている。考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど、荒削りな面はある。しかし、地道な努力が実を結んだ論文や先行文献の整理を踏まえて筆者の思いが切々と綴られた論文が複数見られた。それらは自分自身との対話の深さによるものであり、それが自ずと読む者を惹きつける。
キーワード1 労働者派遣法
キーワード2 規制緩和
キーワード3 労働者供給事業
キーワード4 職業安定法
キーワード5  
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