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学科 産業関係学科
年度 2014
ゼミ名 冨田 安信
タイトル 新卒一括採用制度は今後の日本に必要か~国際比較を通じた日本の就職活動の現状~
内容  日本の就職活動は「新卒一括採用」を基に行われている。しかし、この採用方法は学生達にプレッシャーを与えると同時に、学業の妨げになるという批判の声がある。また、3月時点で内定率が9割を超えていても、3人に1人が3年以内に離職しており、雇用のミスマッチが生じている。新卒一括採用制度は廃止すべき悪習であるのか。日本の就職活動や大学教育を、アメリカ・ドイツ・中国・韓国の4カ国と国際比較しながら考察を進めた。学歴や大学の成績が就職に直結し、学生の勉強に対するモチベーションが高い欧米、資格などのスペックが重視され、就職率が低いアジアというように、各々の国が日本にはない長所と短所を持っている。そして、日本の新卒一括採用にもOJTが円滑に進められるという長所がある。そのため、新卒一括採用を廃止するのではなく、その長所を残しつつ、就職活動開始を10月に変更したり、卒業してから3年以内は求職者を新卒扱いするなど、柔軟性に富んだ制度に変えていくのが得策であるという結論に至った。
講評  女子学生が多かったこともあり、女性労働に関する論文が3本提出されました。女性が活躍する社会になるためには、女性が結婚・出産後も働き続けることのできる環境を整えることが重要です。3本ともそこに注目しました。働き続けようと思っていた女性が退職してしまう原因を分析した論文、企業内託児所の重要性に着目した論文、そして、コース別人事制度の現状と課題を分析した論文でした。
 大学生の就職活動、若者の転職を取り上げた論文が4本と多かったのも今年度の特徴です。大学生の就職活動については、新卒一括採用の是非を論じた論文と「就活断層」に注目した論文でした。若者の転職については、それを適職さがし期間だとしてポジティブにとらえる論文と、技能形成が十分にできないとネガティブにとらえる論文が提出され、興味深く読みました。
 日本企業の海外進出に関連する論文も2本ありました。海外勤務者の労働条件を分析した論文、円高・円安が海外進出と国内雇用に与える影響を分析した論文でした。日本でストライキがなくなった原因をテーマにした論文も、東南アジアに進出した日系企業でストライキが頻発する原因を分析する手掛かりになります。
 承認がモチベーションに与える影響を論じた論文がありました。これは産業心理学・組織行動学の研究テーマであり、こうした分野の授業が産業関係学科にも必要です。企業スポーツ選手の人材育成について調査した論文は、産業関係調査実習での研究を発展させたものでした。卒業論文のいい書き方です。東日本大震災が地域雇用に与えた影響と雇用対策について書いた論文もありました。被災地に限らず、地域雇用もこれからの重要なテーマです。
キーワード1 新卒一括採用
キーワード2 日本的雇用慣行
キーワード3 雇用のミスマッチ
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