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学科 産業関係学科
年度 2014
ゼミ名 三山 雅子
タイトル クールジャパン成功のために
内容  1990年代初頭、自動車や電気機器をリーディング産業とする日本経済の急成長は止まった。それまで高度成長時代を支えてきた、競争、コスト削減、品質向上といった構造に限界がやってきたのである。その後、先進国には高生産性サービス産業の構築が求められたが、日本はこれに出遅れた。その結果、デフレが長期化し、経済危機にまで陥りかねない状態になっている。そんな中、新しい成長産業として日本独自の文化や大衆娯楽に期待の目が向けられた。マンガやアニメや映画といったコンテンツ、日本食、ファッション、観光といったソフト的な商材を海外に展開しようという試みはクールジャパンと称され、今日、政策として安倍内閣の成長戦略に組み込まれている。クールジャパン政策では国の出資で該当商材の海外展開を専門とする機関や法人を設置し、既存の文化やコンテンツを外国に売り込む事業を実施しているが、それで本当に革新的な経済効果は生まれるのだろうか。日本経済は成長を止めてしまった産業構造からの脱却を優先すべきではないのか。文化やコンテンツは高生産性産業である。クールジャパン成功のために、コスト削減思考から離れて高生産性や高付加価値を生み出すことができる仕組みをつくらなければならない。
講評  結局、昨年と同様のことを書かねばならなくなってしまった。今年も卒業論文は二極化していたと言わざるをえなかった。単に、卒論に一生懸命に取り組んだか否かというだけではない。それまでの大学での4年間の過ごし方の違いが、卒論にすべて集中して表現されていると思われた。結局、大学で学ぶということを、どうとらえるかとういうことについての違いが現れたのだと思う。大学で学ぶことを、これからの自分に関係のない机の上のことと捉えるか---そうであるならば、大学での勉強は単位を取ればよいだけのやり過ごすべきこととなる---、あるいは卒業後の自分に関わってくることと捉えるかの違いが。
 前者はただ調べただけのものに留まっていたのみならず、調べたことを他者にわかるように書く上での技術が未熟であった。授業でのレポート執筆を通して、言語表現のテクニックを磨かなかったのだ思う。後者は、卒業後の自分にダイレクトに関わってくるあるいは自分にとって切実なことをとりあげているから、論文自体に熱がこもっていた。そして言語表現の技術もひとまず---あくまでもひとまずだが---合格点のものが多かった。
  私のゼミの卒業生で、地方自治体に働いている人がいる。卒業して10年も経っていないが(だから、まだ若手である)彼女は現在、勤務する市の市政プランを策定している。久しぶりに会った時に話していたのは、まず市民に読んでほしいし、その為には人に伝わる文章を書かなければならないということであった。彼女が仕事で行っていることは、まるでゼミである。しかし、それは市民の生活の有り様を左右する。だから、安全に失敗できるゼミとは大違いだ。その意味で、大学での勉強はスタートラインでしかない。学ぶことはこれからも続くし、これからが本番なのだ。どちらもこれで終わりにしないで、働くことの中で自分を磨いて欲しいと思う。なぜなら、学ぶことこそが最大の武器だから。以上、自戒を込めて。
キーワード1 デフレ
キーワード2 供給過多
キーワード3 コスト削減思考
キーワード4 クールジャパン政策
キーワード5 社内直接投資
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