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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2014 |
ゼミ名 | 上田 眞士 |
タイトル | ゆとり教育から見る若年就労問題 ―苅谷インセンティブ・ディバイド論に対する批判的検討― |
内容 | ゆとり教育を受けた世代として、若年就労問題にゆとり教育がどのように関連しているのかを見るとともに、それをきっかけにさまざまな若年就労の実態やその要因について触れ、ゆとり教育と若者就労問題に対して考察し、その結果をまとめている。2章から3章にかけてゆとり教育と若年就労の問題についてそれぞれ詳細を取り上げ、4章以降は玄田・曲沼、本田、太田の3つの代表的論者の所論を紹介している。そして、この先行研究をきっかけに若年就労問題の要因とゆとり教育との関連について考察した。その結果、玄田・曲沼(2004)がまとめていた教育問題説と太田(2006)の所論の点においてゆとり教育との関連が見受けられた。5章以降は、玄田・曲沼の教育問題説を機に教育と若年就労の有力な議論として苅谷のインセンティブ・ディバイド論について触れ、その批判的検討を行うとともに、太田の所論を含め総括的にゆとり教育と若年就労問題の関連を見ることで若年就労の問題に対しての私の見解を述べるものとなっている。 |
講評 | 提出された卒論テーマを分野別に列挙してみると,「若年就労問題」「インターンシップ」「女性活用・女性活躍推進」「過労死・ブラック企業」「ワークライフバランス」「企業の生き残り戦略」「労働規制緩和」等々となっています。これらのテーマに表出しているものは,一方での経済や経営のグローバル化の進展,また他方では国内での種々の労働問題の発生という,現代日本の雇用社会が展開しているダイナミズム,そこでの当事者たちの苦闘に他なりません。たしかに個々の論文ごとに,問題の掘り下げや論理的な記述という点では精粗もありました。しかし基本的には,卒論作成という課題に対して,困難な就職活動の中でもゼミ生皆が誠実に取り組んでくれた,そのように考えています。そこで,ここでは一年を通した卒論作業を締めくくる講評として,研究や考察に際して私が大事だと思うポイントを,簡単に指摘しておきたいと思います。 大切なことは,一つには,論文の良し悪しの重点は,問題把握や理解の深さ,広さにこそあるのだということです。そして,そのためにも本質的に批判的な研究や考察態度を持って欲しい,そうした要望です。それは決して簡単なことではありませんが,少しかみ砕いて言えば,ただ単に日本的雇用の非を鳴らすだけではつまらない,なぜ現実はそうたらざるをえないのか,そこにまで問題把握を広め深めて欲しい,あるいは,ただ単に日本的経営を称賛するだけではつまらない,それが自らの体内に抱え込んだ病理にまで洞察の目を向けて欲しい,そういうことになるでしょう。要するに,現実は必ず緊張や葛藤を孕んでいます。その緊張や葛藤にこそ,考察の焦点があるのだということです。 いま一つは,まとめや考察にあたっては,無理矢理な政策提言などを行わないこと,むしろ疑問点を掘り下げて提示することの方が,ずっと大事だということです。政策提言の価値自体を否定するつもりは毛頭ありません。問題は,安易に政策提言してしまう習い性には,「わかったつもりになる」という悪弊が結びつくということでしょう。漠然として曖昧模糊で,何を質問して良いのか判らないという状況から,具体的に解かれるべき問題が見えて来る。おそらくそれが「理解が進む」ということでしょう。そうした態度を皆さんには大事にして欲しいと思います。 とはいえ,「言うは易く行うは難し」。卒論の評価基準というよりは,論文を執筆する際の心がけだ,そのように考えて下さい。 <以上> |
キーワード1 | ゆとり教育 |
キーワード2 | 若年就労問題 |
キーワード3 | フリーター |
キーワード4 | インセンティブ・ディバイド |
キーワード5 | |
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