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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2014 |
ゼミ名 | 上田 眞士 |
タイトル | ブラック企業問題 |
内容 | 本論文は近年、参議院選挙の争点の一つともなった「ブラック企業問題」に関するものである。本論文ではまず、1章で「ブラック企業」という言葉が生まれるきっかけ、また世間に周知されるようになったきっかけを述べた。2章でブラック企業を個人的に「労働者を使い潰す企業」と定義し、その労働者を使い潰す企業が生まれた背景には日本の伝統的雇用システムである年功賃金、終身雇用=「日本的雇用」が関わっていると述べた。3章ではブラック企業が関わった過労死等の凄惨な事件に触れ、労働者個人に及ぶ危険性を提示した。4章ではブラック企業問題が個人だけの被害にとどまらず、弊害として少子化問題、生活保護問題等、社会にまで大きな問題を与えていると提示した。5章では2章で触れたブラック企業と日本的雇用の密接な関係性に加え、その日本的雇用を前提とした社会システムが関わっていることを述べた。また、その日本的雇用の崩壊が現在起きていることを示した。6章では、そのような社会全体が関わるブラック企業問題に対して個人単位、政府を含める社会全体が対策として今後やるべきことを提示した。最後にブラック企業の根幹となっている日本的雇用からの脱却こそがブラック企業問題を解決する上で重要であると結論付けた。 |
講評 | 提出された卒論テーマを分野別に列挙してみると,「若年就労問題」「インターンシップ」「女性活用・女性活躍推進」「過労死・ブラック企業」「ワークライフバランス」「企業の生き残り戦略」「労働規制緩和」等々となっています。これらのテーマに表出しているものは,一方での経済や経営のグローバル化の進展,また他方では国内での種々の労働問題の発生という,現代日本の雇用社会が展開しているダイナミズム,そこでの当事者たちの苦闘に他なりません。たしかに個々の論文ごとに,問題の掘り下げや論理的な記述という点では精粗もありました。しかし基本的には,卒論作成という課題に対して,困難な就職活動の中でもゼミ生皆が誠実に取り組んでくれた,そのように考えています。そこで,ここでは一年を通した卒論作業を締めくくる講評として,研究や考察に際して私が大事だと思うポイントを,簡単に指摘しておきたいと思います。 大切なことは,一つには,論文の良し悪しの重点は,問題把握や理解の深さ,広さにこそあるのだということです。そして,そのためにも本質的に批判的な研究や考察態度を持って欲しい,そうした要望です。それは決して簡単なことではありませんが,少しかみ砕いて言えば,ただ単に日本的雇用の非を鳴らすだけではつまらない,なぜ現実はそうたらざるをえないのか,そこにまで問題把握を広め深めて欲しい,あるいは,ただ単に日本的経営を称賛するだけではつまらない,それが自らの体内に抱え込んだ病理にまで洞察の目を向けて欲しい,そういうことになるでしょう。要するに,現実は必ず緊張や葛藤を孕んでいます。その緊張や葛藤にこそ,考察の焦点があるのだということです。 いま一つは,まとめや考察にあたっては,無理矢理な政策提言などを行わないこと,むしろ疑問点を掘り下げて提示することの方が,ずっと大事だということです。政策提言の価値自体を否定するつもりは毛頭ありません。問題は,安易に政策提言してしまう習い性には,「わかったつもりになる」という悪弊が結びつくということでしょう。漠然として曖昧模糊で,何を質問して良いのか判らないという状況から,具体的に解かれるべき問題が見えて来る。おそらくそれが「理解が進む」ということでしょう。そうした態度を皆さんには大事にして欲しいと思います。 とはいえ,「言うは易く行うは難し」。卒論の評価基準というよりは,論文を執筆する際の心がけだ,そのように考えて下さい。 <以上> |
キーワード1 | ブラック企業 |
キーワード2 | 日本的雇用 |
キーワード3 | 年功賃金 |
キーワード4 | 終身雇用 |
キーワード5 | 過労死 |
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