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学科 産業関係学科
年度 2014
ゼミ名 齋藤 毅
タイトル 中国における労働市場、教育訓練の変遷
内容 近年、目覚ましい経済発展を遂げた中国であるが、労働市場の発展、特に教育訓練に関する規範などが整っておらず、思うように人材の開発に着手できていない面もある。また、中国に進出している日系企業も、現地人材の獲得・育成に関して様々な問題を抱えているのが現状だ。
日本企業が中国への参入を本格的に開始したのは1980年代の事であるが。しかし、現在までこれ程の時間が経っていても日本企業は中国における現地人材の問題から抜け出せていない。この部分に、賃金待遇の改善だけでは解決できない何かがあるのではないかと感じ、教育訓練という観点から研究を行なった。
第一章では、中国労働市場の移り変わりを中国建国からの歴史的段階を背景に、過去の政策や、現在取り組まれている計画について述べる。
 第二章では、日本の戦後からの労働市場、および教育訓練の移り変わりをまとめる。さらに近年日本が取り組んでいる新たな教育訓練についてもここに挙げる。
 第三章では、中国国内から見た日系企業について述べる。人材の流出はなぜ起こってしまうのか。加えて、現地人材と日系企業の間に発生するギャップとは何なのかを明らかにする。
 第四章では、これらの事実を踏まえて、今後、中国日系企業が解決するべき課題を整理し、考察する。
講評 今年度の春学期に4年生ゼミの担当である樋口先生が体調を崩されたため、秋学期より代役を務めさせていただくことになりました。ゼミの担当変更に伴い、特に論文指導で「求められるもの」も多少変わって、動揺した学生が多かったように感じます。今回の論文指導では、これまで樋口先生が指導されてきた方針をできるだけ尊重しながら、自分の経験に基づいて言うべきことは言うというスタンスで指導にあたりました。
卒業論文の指導にあたって、具体的にどのようなことを心がけたのか。
4年生が卒業論文を提出した後、一部の学生に卒業論文を書いてみた感想についていくつか質問しました。ある勉強熱心な学生から、卒業論文を書くときにどこで苦労したのか、あるいは、苦労していたのかが正直に伝わってくる答えが返ってきました。「卒業論文では過去に書いたことがない字数を求められるので、最初は字数が書けるか心配だったのですが、書き始めると字数量が多く書くことが難しいのではなく、(むしろ)何をこの卒論で述べたいのか、(どのようにして)一貫性と論理性を持って話を進めるか、といったことが難しいことであると感じました。」この学生の答えには、論文を書くときに欠かすことのできないエッセンスが簡潔に表現されています。1つは、何故書くのか、何を明らかにしたいのか(=問題意識)を、論文を書く当人がしっかり自覚する必要があるということ。もう1つは、その上で、勉強の結果、知り得た情報を他者に興味深く伝えるにはどんな論理展開の仕方(例えば目次、章別構成)が妥当であるかを考える必要があるということです。
しかし、言うはやすく行いは難しで、ある学生は特に問題意識について、次のような感想を漏らしていました。卒業論文を書き進めるうちに「前半持っていた興味と後半持っていた興味が異なってしまった」、「当初企てた計画にも問題があったような気もします」と。この学生は論理展開以前の、問題の設定自体に無理があることを多少感じながらも、時間の関係でとりあえず必要な文字数をクリアして論文を提出せざるを得ませんでした。「どうしたらよいか」という政策的指南を書くことに囚われてしまって、その前提になる「当事者がどこで苦しんでいるのか」とか、「どこで当事者は努力しているのか」という現状分析が疎かになってしまったことが、卒業論文を書くモチベーションが低下させる原因になっていたようです。
これら、学生達の感想は、決して学生達にとってだけの課題を示したものではありません。そこには教員である私自身が学生達に授業で伝えようとして伝えきれなかったこと(課題)も反映されています。その意味では学生達にとって課題が多いということは、同時に私自身も反省するところが多いということでもあります。卒業論文の取り組み方は各人各様であり、その取り組み方によって学んだことや課題も様々だと思います。各人の学びや課題を大切にして、一歩一歩前進していって欲しいと思います。

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