詳細
学科 産業関係学科
年度 2014
ゼミ名 齋藤 毅
タイトル 国家公務員に対する適切な人事評価制度
内容 2009年より国家公務員に対する人事評価が行われるようになった。民間企業ではもはや存在して当然ともいえる人事評価が、国家公務員に対しては行われていなかったのである。それまでは勤務評定によって人事管理がなされていたが、きちんとした評価がなされていないのが実態であり、結局のところ年齢や勤続年数が大きな役割を果たしていた。人事評価はそのような年功的な要素を減らして、成果主義を推し進め本人の能力や成果、業績によって処遇を決めようと導入された。しかし、日本では課や部ごとに集団単位で仕事をこなす労働スタイルが一般的であり、さらにそこに財源などの公務員特有の制約も加わり、有効な人事評価の運用がなかなか進まずにいる。海外においても公務員特有の問題に頭を悩ませている。そんななかで、フィンランドやイギリスで導入されているチーム業績給は日本の集団的な働き方にマッチし、人事評価をより有効なものにするのではないだろうか。
講評 今年度の春学期に4年生ゼミの担当である樋口先生が体調を崩されたため、秋学期より代役を務めさせていただくことになりました。ゼミの担当変更に伴い、特に論文指導で「求められるもの」も多少変わって、動揺した学生が多かったように感じます。今回の論文指導では、これまで樋口先生が指導されてきた方針をできるだけ尊重しながら、自分の経験に基づいて言うべきことは言うというスタンスで指導にあたりました。
卒業論文の指導にあたって、具体的にどのようなことを心がけたのか。
4年生が卒業論文を提出した後、一部の学生に卒業論文を書いてみた感想についていくつか質問しました。ある勉強熱心な学生から、卒業論文を書くときにどこで苦労したのか、あるいは、苦労していたのかが正直に伝わってくる答えが返ってきました。「卒業論文では過去に書いたことがない字数を求められるので、最初は字数が書けるか心配だったのですが、書き始めると字数量が多く書くことが難しいのではなく、(むしろ)何をこの卒論で述べたいのか、(どのようにして)一貫性と論理性を持って話を進めるか、といったことが難しいことであると感じました。」この学生の答えには、論文を書くときに欠かすことのできないエッセンスが簡潔に表現されています。1つは、何故書くのか、何を明らかにしたいのか(=問題意識)を、論文を書く当人がしっかり自覚する必要があるということ。もう1つは、その上で、勉強の結果、知り得た情報を他者に興味深く伝えるにはどんな論理展開の仕方(例えば目次、章別構成)が妥当であるかを考える必要があるということです。
しかし、言うはやすく行いは難しで、ある学生は特に問題意識について、次のような感想を漏らしていました。卒業論文を書き進めるうちに「前半持っていた興味と後半持っていた興味が異なってしまった」、「当初企てた計画にも問題があったような気もします」と。この学生は論理展開以前の、問題の設定自体に無理があることを多少感じながらも、時間の関係でとりあえず必要な文字数をクリアして論文を提出せざるを得ませんでした。「どうしたらよいか」という政策的指南を書くことに囚われてしまって、その前提になる「当事者がどこで苦しんでいるのか」とか、「どこで当事者は努力しているのか」という現状分析が疎かになってしまったことが、卒業論文を書くモチベーションが低下させる原因になっていたようです。
これら、学生達の感想は、決して学生達にとってだけの課題を示したものではありません。そこには教員である私自身が学生達に授業で伝えようとして伝えきれなかったこと(課題)も反映されています。その意味では学生達にとって課題が多いということは、同時に私自身も反省するところが多いということでもあります。卒業論文の取り組み方は各人各様であり、その取り組み方によって学んだことや課題も様々だと思います。各人の学びや課題を大切にして、一歩一歩前進していって欲しいと思います。
キーワード1 勤務評定
キーワード2 人事評価制度
キーワード3 大部屋主義
キーワード4 チーム業績給
キーワード5  
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