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学科 産業関係学科
年度 2014
ゼミ名 齋藤 毅
タイトル 女性・高齢者・外国人の就労支援策のあり方 ―福利厚生面での支援策を中心に―
内容 日本の労働力人口が減少する中で、どのようにして労働力を確保するかが急務の課題となっている。日本の将来の労働力の供給源として期待されているのは、(1)女性労働者、(2)高年齢労働者、(3)外国人である。しかし、現下の日本企業では、これらの人材の活用は必ずしも十分に行なわれていないと思われる。これらの人材の活用を推進するためには、仕事と生活の両面でのケアが必要である。本論文では、仕事と生活の両面の内、生活面(=福利厚生面)でのケアを中心に検討した。その分析結果を述べる。(1)女性労働者に対してはこれまでの男性中心の雇用管理から脱却し、出産や育児を支援するための施策を用意することが望ましい。具体的な施策としては社内託児所を設置することなどがあげられる。(2)また、賃金が比較的低く抑えられているとはいえ、働き振りがよいことが証明されている高年齢労働者には社員食堂の活用を通じて健康面での支援を行うことが重要である。(3)外国人労働者については、低賃金や長時間労働等の労働問題が発生しているため、まずこの点の改善が必要である。その上で、住居や家族、宗教に対する支援を行うことが望ましい。
講評 今年度の春学期に4年生ゼミの担当である樋口先生が体調を崩されたため、秋学期より代役を務めさせていただくことになりました。ゼミの担当変更に伴い、特に論文指導で「求められるもの」も多少変わって、動揺した学生が多かったように感じます。今回の論文指導では、これまで樋口先生が指導されてきた方針をできるだけ尊重しながら、自分の経験に基づいて言うべきことは言うというスタンスで指導にあたりました。
卒業論文の指導にあたって、具体的にどのようなことを心がけたのか。
4年生が卒業論文を提出した後、一部の学生に卒業論文を書いてみた感想についていくつか質問しました。ある勉強熱心な学生から、卒業論文を書くときにどこで苦労したのか、あるいは、苦労していたのかが正直に伝わってくる答えが返ってきました。「卒業論文では過去に書いたことがない字数を求められるので、最初は字数が書けるか心配だったのですが、書き始めると字数量が多く書くことが難しいのではなく、(むしろ)何をこの卒論で述べたいのか、(どのようにして)一貫性と論理性を持って話を進めるか、といったことが難しいことであると感じました。」この学生の答えには、論文を書くときに欠かすことのできないエッセンスが簡潔に表現されています。1つは、何故書くのか、何を明らかにしたいのか(=問題意識)を、論文を書く当人がしっかり自覚する必要があるということ。もう1つは、その上で、勉強の結果、知り得た情報を他者に興味深く伝えるにはどんな論理展開の仕方(例えば目次、章別構成)が妥当であるかを考える必要があるということです。
しかし、言うはやすく行いは難しで、ある学生は特に問題意識について、次のような感想を漏らしていました。卒業論文を書き進めるうちに「前半持っていた興味と後半持っていた興味が異なってしまった」、「当初企てた計画にも問題があったような気もします」と。この学生は論理展開以前の、問題の設定自体に無理があることを多少感じながらも、時間の関係でとりあえず必要な文字数をクリアして論文を提出せざるを得ませんでした。「どうしたらよいか」という政策的指南を書くことに囚われてしまって、その前提になる「当事者がどこで苦しんでいるのか」とか、「どこで当事者は努力しているのか」という現状分析が疎かになってしまったことが、卒業論文を書くモチベーションが低下させる原因になっていたようです。
これら、学生達の感想は、決して学生達にとってだけの課題を示したものではありません。そこには教員である私自身が学生達に授業で伝えようとして伝えきれなかったこと(課題)も反映されています。その意味では学生達にとって課題が多いということは、同時に私自身も反省するところが多いということでもあります。卒業論文の取り組み方は各人各様であり、その取り組み方によって学んだことや課題も様々だと思います。各人の学びや課題を大切にして、一歩一歩前進していって欲しいと思います。

キーワード1 就労支援策
キーワード2 女性労働者
キーワード3 高年齢労働者
キーワード4 外国人労働者
キーワード5 福利厚生
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