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学科 メディア学科
年度 2014
ゼミ名 河崎 吉紀
タイトル 投げ銭の歴史
内容 近年、しばしば駅前や人通りの多い街中でストリートパフォーマンスや流し演奏をする人を目にする機会がある。特に若い人に多いが、芸の練習や自分を表現する場所として、様々な人が路上で演奏活動やパフォーマンスをしている。
その芸やパフォーマンスを見た人が支払うものとして「投げ銭」がある。投げ銭は見た人が「楽しんだ気持ち」として支払うもので、よいパフォーマンスへのチップのようなものである。金額は観客の任意で決まり、少額であるため、観客は自分の満足度に応じた金額を心理的にも軽い負担で、演奏者にパフォーマンスの対価として渡すことができる。実際に投げ銭は拍手の意味合いを含んだ寄付に近い形で運用されている。
日本でも従来から舞台芸能などにおいて「お代は見てのお帰り」といった文句で観客が満足したら帰り際に任意の代金を払う投げ銭と同じシステムの「おひねり」の文化が存在する 。しかしながら昔はこのような「おひねり」をした日本人なのに現在では大道芸を見ても投げ銭をしている人が少ない。デジタルメディアが発達し人々の娯楽の多様化し、人々の関心が投げ銭を求める芸人に向かなくなったことや、ストリートパフォーマンスや大道芸ができる場所が少なくなったことにより、「投げ銭」という行為も、非常に限定的な場所でしか行われなくなった状況がある。そのような背景によって「投げ銭」という言葉自体、知らない人も増えているというのが現状である。
 このように「投げ銭」という行為が一般の人々には縁のないものとなりつつあったが、昨今デジタル化が進み、インターネット上で CGM(Consumer Genrated Media) が注目されるようになると、ふたたび「楽しんだ気持ち」として支払う「投げ銭」システムがインターネット上で見直されている。web投げ銭システムが少しずつニコニコ動画やユーストリームなどの動画投稿サイトやSNSに導入されつつあるのだ。いままで発表の場を持たなかった個人のパフォーマンスがwebメディアに発表されることが多くなっていることを受け、Webメディアで投げ銭の類似行為を行うシステムとしていくつかのサービスが提案されており、投げ銭はもはや大道芸やストリートパフォーマンスだけのものではなくなってきた。「投げ銭」という本来、大道芸やストリートパフォーマンスにおいて行われていた行為がなぜ、webメディアにおいて用いられるようになったのか。従来の「投げ銭」が観客とパフォーマーとの同一の空間におけるコミュニケーションのなかに存在することに注目したとき、そのコミュニケーションの形が変わってきていることは明らかである。
 「投げ銭」において「投げ銭」をする側と「投げ銭」を貰う側、その両者の関わり方の変遷をたどり投げ銭文化におけるコミュニケーションの形について考察する。
講評 個人的な興味や関心を普遍性をもつ研究テーマに改め、先行研究を整理し、調査によって発見または検証が行われたことを評価する。

キーワード1 インターネット
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