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学科 メディア学科
年度 2014
ゼミ名 佐伯 順子
タイトル メディアが作り出すスポーツヒーロー像 本田圭佑
内容 「自分の夢、そんな簡単に諦められるかって話でしょ。」-サッカー日本代表であり、イタリアのビッグクラブ、ACミランに所属する本田圭佑はこう発言した。この発言は多くのメディアで取り上げられた。メディアで取り上げられる本田圭佑の発言は、スポーツマンに関わらず、人生や生活の中で困難にぶつかった時に一歩前に進めるようになる、勇気の湧く言葉が多いように感じる。今や、本田圭佑は、日本を代表するスポーツヒーローである。近年、ワールドカップやオリンピックなどは単なる国際的なスポーツ大会という枠組を超え、大きなメディア・イベントとして認識されている。そのなかで、メディアはヒーローを見出し、大きく取り上げることで人々の注目を集めようとしている。しかし、スポーツヒーローを見出す時代から、メディアが作り出す時代になったと言われている。先程述べた本田圭佑についてもメディアが作り出したスポーツヒーローと考えることができるのではないか。そこで、本論文ではメディアによるスポーツヒーローの誕生と歴史、またメディアの中でも明確なメッセージを読者に与える雑誌を使い、本田圭佑を対象に現在のスポーツヒーロー像を分析する。メディアがどのようにスポーツヒーローを描いてきて、現在のスポーツヒーローに必要な要素とは何かを研究していこうと思う。
講評 この学年の佐伯ゼミでは、テレビ・ドラマ分析を中心に学習した結果、映像メディアをテーマにした卒論が全十八名のうち十二本と、最も多かった。最新のディズニー映画やアメリカ映画の人気シリーズ、ホラー映画、宮崎アニメ、米国、韓国、日本のテレビ・ドラマと、国際色豊かで多彩な研究テーマが含まれ、作品、作家研究を中心とする傾向のある美学、芸術学的なアプローチとは異なる、社会的、歴史的背景との関連性を視野に入れた研究となっていることが、本学科ならではの成果といえる。中国からの留学生が米国ドラマにおける「おたく」の概念を分析したり、韓国人留学生が日韓のテレビ・ドラマを比較したり、日本人学生が米国映画におけるアメリカ社会の心性の歴史的変化を明らかにするなど、同志社の国際主義にふさわしいグローバルで比較文化的な達成点を得ることができたことは意義深い。ジェンダーの観点から日本のテレビ・ドラマを分析した研究も、指導教員の専門分野を忠実に学んでくれた成果として評価できる。
ニコニコ動画やテレビゲームと、近年のメディアの多様化を反映したテーマも、同時代の研究として重要であり、ゲーム研究にも日米比較という国際比較の観点が含まれていることも貴重である。バラエティ番組をテーマにした卒業論文が二本含まれていることも、娯楽的コンテンツが学術的研究に値する対象であることを示した、メディア学科ならではの成果といえる。
アイドル研究もポピュラーカルチャー研究として独自の視点をみせ、さらに、旧来のメディアの送り手/受け手という二分法が現代のメディア環境においていかに相対化されているかを、理論的先行研究および最新の具体的事例を通して分析した研究は、メディア理論という硬派な要素をとりこんだ独自の成果であった。
新聞学の歴史を継承する活字メディアの分析としては、政治的、外交的な重要課題をめぐる新聞各紙の比較、スポーツ雑誌にみるヒーロー像、日独の女子サッカー報道の比較、女性ファッション誌についての分析があり、ここでも、留学経験を生かした国際的視点や、雑誌、新聞記事の丹念で実証的な分析が際立っていた。
全体として、国内研究中における隔週指導という変則的なゼミ形式でありながらも、優秀な論文がそろったことは、ゼミ生の謙虚な研鑽の結果として大いに評価できる。
キーワード1 スポーツヒーロー
キーワード2 雑誌研究
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