詳細 | |
---|---|
学科 | メディア学科 |
年度 | 2014 |
ゼミ名 | 佐伯 順子 |
タイトル | アメリカ社会と「バットマン」―リメイクの変遷からみる映画の社会反映― |
内容 | 現代の映画界、ことハリウッドに関してはいわゆる「リメイク作品」が多く制作されている。映画のメディア的要素とこの「リメイク作品」の関連性に着目してみると、年代を超えてリメイクされた作品ついての検証を行えば、その作品が映し出してきた社会の変遷について理解することができるのではないかと考え、こうした観点から、映画と社会反映についての研究を行った。しかし、近年のリメイク作品はあまり数が多く、そのすべてを研究対象とするのはあまりに膨大であるので、軸となる作品として「バットマン」を選定し研究に取り組んだ。数多く映像化された「バットマン」というコンテンツは、その歴史の中でティム・バートンとクリストファー・ノーランという非常に独創的な作家性を持つ2人が監督を担当している。この両者が監督した作品(バートン:『バットマン』『バットマン リターンズ』、ノーラン:『バットマン ビギンズ』『ダークナイト』『ダークナイト ライジング』)にスポットを当て、年代を経てリメイクされた作品がどのようにアメリカ社会を反映しているかについての考察を行った。 |
講評 | この学年の佐伯ゼミでは、テレビ・ドラマ分析を中心に学習した結果、映像メディアをテーマにした卒論が全十八名のうち十二本と、最も多かった。最新のディズニー映画やアメリカ映画の人気シリーズ、ホラー映画、宮崎アニメ、米国、韓国、日本のテレビ・ドラマと、国際色豊かで多彩な研究テーマが含まれ、作品、作家研究を中心とする傾向のある美学、芸術学的なアプローチとは異なる、社会的、歴史的背景との関連性を視野に入れた研究となっていることが、本学科ならではの成果といえる。中国からの留学生が米国ドラマにおける「おたく」の概念を分析したり、韓国人留学生が日韓のテレビ・ドラマを比較したり、日本人学生が米国映画におけるアメリカ社会の心性の歴史的変化を明らかにするなど、同志社の国際主義にふさわしいグローバルで比較文化的な達成点を得ることができたことは意義深い。ジェンダーの観点から日本のテレビ・ドラマを分析した研究も、指導教員の専門分野を忠実に学んでくれた成果として評価できる。 ニコニコ動画やテレビゲームと、近年のメディアの多様化を反映したテーマも、同時代の研究として重要であり、ゲーム研究にも日米比較という国際比較の観点が含まれていることも貴重である。バラエティ番組をテーマにした卒業論文が二本含まれていることも、娯楽的コンテンツが学術的研究に値する対象であることを示した、メディア学科ならではの成果といえる。 アイドル研究もポピュラーカルチャー研究として独自の視点をみせ、さらに、旧来のメディアの送り手/受け手という二分法が現代のメディア環境においていかに相対化されているかを、理論的先行研究および最新の具体的事例を通して分析した研究は、メディア理論という硬派な要素をとりこんだ独自の成果であった。 新聞学の歴史を継承する活字メディアの分析としては、政治的、外交的な重要課題をめぐる新聞各紙の比較、スポーツ雑誌にみるヒーロー像、日独の女子サッカー報道の比較、女性ファッション誌についての分析があり、ここでも、留学経験を生かした国際的視点や、雑誌、新聞記事の丹念で実証的な分析が際立っていた。 全体として、国内研究中における隔週指導という変則的なゼミ形式でありながらも、優秀な論文がそろったことは、ゼミ生の謙虚な研鑽の結果として大いに評価できる。 |
キーワード1 | 映画 |
キーワード2 | バットマン |
キーワード3 | アメリカ |
キーワード4 | リメイク |
キーワード5 | 社会反映 |
戻 る |