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学科 メディア学科
年度 2014
ゼミ名 佐伯 順子
タイトル 「個の時代」における文化消費―現代日本の文化コンテンツと生産消費者
内容 未来学者アルビン・トフラーは著書『第三の波』の中で、消費者でありながら主体的に生産行為に参加する「生産消費者」の存在を主張した。本研究では、そうした生産消費者が誕生した背景にある社会の変動に関するトフラーの主張をまとめ、彼が「第三の波」と呼ぶ情報化社会をそれまでマスメディア等によって均質化されてきた人々が自己の確立を求め社会を非マス(大衆)化させた「個の時代」と捉える。その上で、「個の時代」において人々が自らのために生産行為を行う目的やそうした消費者の動きに対する生産者側の反応を、3Dアニメーション制作ソフト「MikuMikuDance」等の最新の事例を用いて現代日本の文化コンテンツに見られる生産消費行為を検証することで明らかにするとともに、生産消費行為への参加動機をクリス・アンダーソンが指摘したフリー経済がもたらした人々の価値基準の変動と結びつけることで、消費者が文化の主導権を握る可能性を指摘する。
講評 この学年の佐伯ゼミでは、テレビ・ドラマ分析を中心に学習した結果、映像メディアをテーマにした卒論が全十八名のうち十二本と、最も多かった。最新のディズニー映画やアメリカ映画の人気シリーズ、ホラー映画、宮崎アニメ、米国、韓国、日本のテレビ・ドラマと、国際色豊かで多彩な研究テーマが含まれ、作品、作家研究を中心とする傾向のある美学、芸術学的なアプローチとは異なる、社会的、歴史的背景との関連性を視野に入れた研究となっていることが、本学科ならではの成果といえる。中国からの留学生が米国ドラマにおける「おたく」の概念を分析したり、韓国人留学生が日韓のテレビ・ドラマを比較したり、日本人学生が米国映画におけるアメリカ社会の心性の歴史的変化を明らかにするなど、同志社の国際主義にふさわしいグローバルで比較文化的な達成点を得ることができたことは意義深い。ジェンダーの観点から日本のテレビ・ドラマを分析した研究も、指導教員の専門分野を忠実に学んでくれた成果として評価できる。
ニコニコ動画やテレビゲームと、近年のメディアの多様化を反映したテーマも、同時代の研究として重要であり、ゲーム研究にも日米比較という国際比較の観点が含まれていることも貴重である。バラエティ番組をテーマにした卒業論文が二本含まれていることも、娯楽的コンテンツが学術的研究に値する対象であることを示した、メディア学科ならではの成果といえる。
アイドル研究もポピュラーカルチャー研究として独自の視点をみせ、さらに、旧来のメディアの送り手/受け手という二分法が現代のメディア環境においていかに相対化されているかを、理論的先行研究および最新の具体的事例を通して分析した研究は、メディア理論という硬派な要素をとりこんだ独自の成果であった。
新聞学の歴史を継承する活字メディアの分析としては、政治的、外交的な重要課題をめぐる新聞各紙の比較、スポーツ雑誌にみるヒーロー像、日独の女子サッカー報道の比較、女性ファッション誌についての分析があり、ここでも、留学経験を生かした国際的視点や、雑誌、新聞記事の丹念で実証的な分析が際立っていた。
全体として、国内研究中における隔週指導という変則的なゼミ形式でありながらも、優秀な論文がそろったことは、ゼミ生の謙虚な研鑽の結果として大いに評価できる。
キーワード1 第三の波
キーワード2 生産消費者
キーワード3 非マス化
キーワード4 自己表現
キーワード5 フリー経済
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