詳細
学科 メディア学科
年度 2014
ゼミ名 池田 謙一
タイトル SNSの炎上~相次ぐ不適切な写真の公開と炎上の原因~
内容 本研究は、近年SNSで多発している炎上騒動の原因について検討した。まず、SNSというメディアの実態に触れたのちSNSにおける炎上はこれまでとは違うことを指摘した。SNS炎上の主な発端は、不適切な行為を撮影した写真をSNSに公開することであり、その背景にはスマートフォンの普及とSNSの利用環境の変化が関与していると論じた。また、SNS利用者の「SNS上に写真を公開すること」、そして「SNSに対するリスク意識」の度合いも炎上と関連していると推測して仮説を導出した。調査の結果から、スマートフォンの利用と写真の撮影頻度、そしてSNSに写真を投稿することの間に正の相関が認められた。しかしSNSの利用頻度とリスク意識は相関が認められなかった。そして、スマートフォンの普及によって写真が発端の炎上が主流となり、炎上の原因となる行為はSNSの利用頻度にかかわらず、個人のモラルによって引き起こされている可能性が示された。しかし、本研究にはまだ多くの課題が残されており、本稿の最後にそれらの課題への対処や展望に関して提言した。
講評  本ゼミの中でまとめられた卒論の全体的な特徴は、マスメディアもしくはインターネットなどの電子メディアの上で生じているさまざまな社会的現象について、その背後にあるメカニズムについて仮説を立て、実際にその仮説の予測に当てはまるデータがあるかどうかを、主にインターネット上のランダムサンプリングに基づく社会調査、および文献研究から検討した点にある。
卒論の具体的なテーマは、近年のSNSの発展とそこで生じるストレス事象に関連する、ソーシャル疲れ、炎上、対人トラブル、ネットワークの閉鎖性をテーマにした一連の研究があり、単にSNSをメディアとして論じる一般的な議論以上に、ユーザの視点から予測しない影響が検出された。また、マスメディアとSNSやインターネット一般との関連で、テレビのソーシャルメディア化、インターネットが生じさせた消費行動の変容(ショッピングやキーパーソン)、広告コミュニケーションや企業広報の変容、テレビで報道された不祥事に対する反応の差異、インターネット選挙解禁の効果、テレビと動画投稿・動画配信との役割分化、が研究の対象となった。これらはインターネットの発展がマスメディアの利用行動そのものを変化させ、またマスメディアの利用と連動することも明らかにしていた。さらに個別のテーマとしては、タレント出演の報道番組が分かりやすさの追求にはならない一方で従来は報道に接しない層を惹きつけるという効果研究、電子書籍市場の発展を検討すると直線的な発展の予測は当てはまらないという予測研究が行われた。
仮説の予測が当てはまるかどうかは、研究対象とした社会的現象についてのメディアの効果の先行研究や卒論執筆者の論理的な推定力によって左右され、うまく実証できた事例も少なくない。一方、仮説の予測が当てはまらないときに、それがなぜかを多角的な視点から検討するのも、社会的現象の説明には重要な事柄である。本年の卒論はこうした点で粘って検討した点が随所に見え、評価できるが、もう少し分析力を上げれば、さらに説得的な論文になったのではないかという注文も付けておきたい。
キーワード1 SNS
キーワード2 炎上
キーワード3 インターネット
キーワード4  
キーワード5  
戻 る
Copyright (C) Doshisha University All Rights Reserved.