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学科 | メディア学科 |
年度 | 2014 |
ゼミ名 | 池田 謙一 |
タイトル | ネット選挙解禁による選挙活動変化の展望 |
内容 | 2013年、投票率が上がるとの効果が見込まれながらネット選挙が解禁されたが、同年の参院選は過去最低の投票率に終わり、その期待は裏切られた。そこで本論文では、ネット選挙解禁によって今後の選挙活動はどのように変化していくのかを、現代の選挙の特徴、各政党や候補者の戦略、現代のインターネット上の現象から考察する。現代の選挙では無党派層が実質的な第一党であると言われ、各政党や候補者は無党派層をターゲットにしたネット選挙戦略を展開した。しかし、その戦略に大きな効果は見られなかった。ネット選挙解禁の効果があまり見られない中で、候補者の当落に影響を与えた現象がインターネット上の落選運動である。この落選運動は、現在のインターネット、とりわけソーシャルメディア上で見られる炎上と、期間及び発生と収束の過程で共通性が見られた。日本の選挙というシステム自体が炎上、つまり落選運動が発生しやすい状態にあり、今後のインターネット上における選挙活動は、落選運動が中心になっていくと考える。 |
講評 | 本ゼミの中でまとめられた卒論の全体的な特徴は、マスメディアもしくはインターネットなどの電子メディアの上で生じているさまざまな社会的現象について、その背後にあるメカニズムについて仮説を立て、実際にその仮説の予測に当てはまるデータがあるかどうかを、主にインターネット上のランダムサンプリングに基づく社会調査、および文献研究から検討した点にある。 卒論の具体的なテーマは、近年のSNSの発展とそこで生じるストレス事象に関連する、ソーシャル疲れ、炎上、対人トラブル、ネットワークの閉鎖性をテーマにした一連の研究があり、単にSNSをメディアとして論じる一般的な議論以上に、ユーザの視点から予測しない影響が検出された。また、マスメディアとSNSやインターネット一般との関連で、テレビのソーシャルメディア化、インターネットが生じさせた消費行動の変容(ショッピングやキーパーソン)、広告コミュニケーションや企業広報の変容、テレビで報道された不祥事に対する反応の差異、インターネット選挙解禁の効果、テレビと動画投稿・動画配信との役割分化、が研究の対象となった。これらはインターネットの発展がマスメディアの利用行動そのものを変化させ、またマスメディアの利用と連動することも明らかにしていた。さらに個別のテーマとしては、タレント出演の報道番組が分かりやすさの追求にはならない一方で従来は報道に接しない層を惹きつけるという効果研究、電子書籍市場の発展を検討すると直線的な発展の予測は当てはまらないという予測研究が行われた。 仮説の予測が当てはまるかどうかは、研究対象とした社会的現象についてのメディアの効果の先行研究や卒論執筆者の論理的な推定力によって左右され、うまく実証できた事例も少なくない。一方、仮説の予測が当てはまらないときに、それがなぜかを多角的な視点から検討するのも、社会的現象の説明には重要な事柄である。本年の卒論はこうした点で粘って検討した点が随所に見え、評価できるが、もう少し分析力を上げれば、さらに説得的な論文になったのではないかという注文も付けておきたい。 |
キーワード1 | ソーシャルメディア |
キーワード2 | ネット選挙 |
キーワード3 | 無党派層 |
キーワード4 | 落選運動 |
キーワード5 | |
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