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学科 社会学科
年度 2014
ゼミ名 鵜飼 孝造
タイトル 「コミュニケーションツールとしての差し入れ  ―サークルに所属する同志社大学生への調査をもとに―」
内容  今までに大勢の人がしているだろう「差し入れ」行為。なぜするのかと考えを巡らせたことはあるだろうか。本稿は、大学生サークル集団における「差し入れ」の実態を探ることで、相互行為研究のうちに、「差し入れ」(=「忙しい仕事に追われている人に食物や品物を届ける」の意。)研究の開拓を行うことをねらいとしたものである。Simmel の「人々の間の相互作用の多くは交換と見なしうる」という言葉、Maussの『贈与論』、Goffmanの『儀礼としての相互行為』など、集団・贈与に関する様々な先行研究の知見をもとに、仮説を立て、調査・考察を行った。本稿では、以下3つの理論を立てた。①「能動的差し入れ・受動的差し入れと動機付けの指向によって2種類に分類できる」、②「差し入れ意欲の高い人ほど、サークル内人間関係構築度が高く、サークルに対して愛着を持っている」、③「回生と差し入れ行為には相関関係がある」。動機付けによって発信するメッセージが異なること、親しさや義務感、「差し入れ」の間には相関関係があること。調査結果からは、「差し入れ」が、比較的容易に実行できる、れっきとしたコミュニケーションツールのひとつとして用いられていることが明らかになった。
講評  差し入れなんて、今どきの学生には無縁の行動ではないかと思い込んでいたので、まだまだこのような社交文化が残っていることに驚きうれしくもあった。人間関係の希薄化を単純に指摘する一方で、私たちは関係を維持することを面倒くさく感じる。しかし、関係を維持し築いていくためには、差し入れのような「当たり前」の作法を身につけなければならない。著者は差し入れを能動的と受動的に分類しているが、受動的差し入れが重要な基礎としてあって、はじめて能動的なものが生まれるのではないかと思った。理論的整理を踏まえた上で調査の手続きや分析を手堅くおこなっている点でも優れた論文である。
キーワード1 差し入れ
キーワード2 集団
キーワード3 贈与
キーワード4 サークル
キーワード5 コミュニケーション
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