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学科 社会学科
年度 2014
ゼミ名 鵜飼 孝造
タイトル 「『アナと雪の女王』におけるディズニー・ヴィランズの変容」
内容  本論文は、ディズニー・アニメーションにおける悪玉、ヴィランズについての研究である。悪玉の定義や先行研究から、分かりやすい悪玉が何をモチーフにして生まれたのかを考察し、その後ディズニー・アニメーションの歴史について紹介をしている。ディズニーのヴィランズ達もこれまでは、悪玉と分かりやすい見た目をしていることが多かった。しかし近年その悪玉像は変わり、一見優しそうだがその裏で狡猾に策略を立てている悪玉が増えている。この転換は主に2000年を境にして起こっている。特にディズニー・アニメーション作品『アナと雪の女王』(2013)は、パターン化された悪玉像から大きく外れた物語となっている。これについてこれまでのディズニー・ヴィランズたちがどのようなキャラクターであったのかを、『アナと雪の上』ではどのようなキャラクターが悪玉になっているのかを、複数のキャラクターを例に挙げながら分析を行った。その結果これらの転換は、ディズニー・アニメーション・スタジオのグローバル化や、CGアニメーションの台頭、そして愛と勇気と魔法で構成されたディズニー・アニメーションに対するある種の理想を持たせる<ディズニー・マジック>の3点が大きく影響を与えていることが分かった。
講評  『アナ雪』のハンス王子はたびたび態度を豹変させ、今までの悪玉とは異なる。しかし一貫した悪の意思も能力も欠けているので存在感が薄い。そもそも、主人公エルサの内面で世界を凍らせる魔力とそれに悩む良心が対立するところに物語の主軸があるのだから、ハンスがマージナルな性格になるのは当然だ。これは、映画では『プラダを着た悪魔』(2006)や『エリザベス:ゴールデンエイジ』(2007)で既に用いられた構図であって、ディズニー・アニメでもそれが導入されたということではないか。「勧善懲悪」と「ロマンス」の構図がアメリカ娯楽の本流でも崩壊したプロセスを丁寧にたどった良い論文だと思う。
キーワード1 アニメーション
キーワード2 ディズニー
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