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学科 | 社会学科 |
年度 | 2014 |
ゼミ名 | 藤本 昌代 |
タイトル | 少年の社会復帰における保護司の役割について――保護司へのインタビューを通して―― |
内容 | 本稿のテーマは、少年の社会復帰における保護司の役割についてである。許可を得たある都心部に所属する保護司3名に対してインタビュー調査を行った。少年が非行に走る原因を家庭環境と社会環境の二つの視点から考えると、家庭環境要因は、親の愛情不足による自尊心の低さや、親の教育観である。社会環境要因は、めまぐるしく変わる社会環境の中で、少年が「善悪」の判断がつかないことである。調査を通して、保護司は少年の社会復帰を支えるに欠かせないフォーマルな保護集団であることが再認識できた。そして、保護司を家庭の中でどのように受け入れていくかが、更生の重要な分かれ目であることが分かった。立ち直ろうとする少年を非難する社会の目がまだ多くあることに変わりはない。いかにして一度過ちを犯してしまった少年たちに手を差し伸べていくかが今後も変わらぬ課題であることを再確認できた。 |
講評 | この論文は社会病理学の見地から進められたものであり、普段、人々が知ることができない非行少年の社会復帰について、保護観察司の目を通して検証するものである。方法は京都市のある地域の保護観察司3名に自身が担当した少年たちがどのような要因で非行に走るのか、また罪を償ってもまた再犯してしまう背景に何があるのか、保護観察司としてのジレンマはどのようなことがあるのかということについて、インタビュー調査を行っている。非行少年は、家族からの愛情が付与されないことが原因である場合が多く、それは貧困層の家庭や母親が育児放棄をしたような家庭だけでなく、富裕層の家庭でも兄弟との過剰な比較から起こることが明らかになった。また、少年らを取り巻く社会的環境は厳しく、1回限りの過ちであるにもかかわらず、就職には厳しいものがあり、受け入れてくれる企業がまだまだ不足しており、保護観察司の支援、励ましは非常に重要であることが示された。その一方で心理的距離を近づけすぎると自分に関心を失ってしまった母親や家族以上に保護観察司が重要な他者になってしまい、その少年と家族の関係修復が難しくなってしまうことから、支援しつつも一定の距離を保つ必要があるというジレンマもあることがわかった。繊細なテーマに取り組んだ意欲的な研究である。 |
キーワード1 | 非行少年の社会復帰 |
キーワード2 | 保護司 |
キーワード3 | ジレンマ |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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