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学科 社会学科
年度 2014
ゼミ名 杉本 久未子
タイトル ZINE―物質性が引き出す魅力―
内容  ジンとは、有志の人々が制作する、たいていの場合は少部数の、非商業的・非営利的な出版物のことである。現代の日本においては、ミニコミ・同人誌・リトルプレス等と重なる領域を示す。かたちや大きさに決まりはないが、ホッチキスで綴じてA5サイズ程に製本された冊子が多い。内容についても全く自由である。個人的に思っていることや日記、自作の絵や写真、音楽などのレビューや批判、ライフスタイルを紹介するものなどが存在する。
 しかし自由といってもいくつかの特徴を持つ。ジンには、性についてなどの少し口に出しにくい内容が書かれやすい。また、大きさのそろっていない紙やゆがんだコピー、手書きの文字など、手作りであることを感じさせる部分が大抵ある。ジン本体とは別におまけが付いてくることもあれば、シールなどで装飾された封筒に入って届くこともある。
 これらの特徴は全てジンのもつ物質性が要因である。物質であるからこそ、ジンは作者の身体性を読者に伝えることが可能となり、作者と読者の間に親密な関係が築かれる。これはインターネット上のやりとりでは不可能であるため、現代の日本においてもジンが流行する一因である。
講評  本論文は、筆者が関心を持って収集・作成・交換しているZineと呼ばれる自主制作の雑誌の魅力を分析したものである。このテーマを聞いた時には、社会学の卒業論文になるか不安も感じたが、筆者はZineの歴史的背景、収集したZineのテキスト分析、Zineの流通をめぐるフィールドワークを通じて、現在社会においてこのような雑誌が流通する意味を明らかにした。特にインターネット社会のなかでZineの持つ物質性に注目し、アナログな媒体を能動的に選択することが大衆消費社会におけるオルタナティブなコミュニティに結び付いていることを分析している。「個人的なことは社会的なことである」というフェミニズムの主張に通底するものを感じた。
キーワード1 ジン
キーワード2 物質性
キーワード3 身体性
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