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学科 社会学科
年度 2014
ゼミ名 杉本 久未子
タイトル アニメ聖地巡礼における巡礼者の視点
内容  近年、聖地巡礼という、本来の聖地巡礼とは異なったアニメ作品のロケ地などを訪れる行為が流行している。本稿では、そのアニメのロケ地を訪れるという意味での聖地巡礼を巡礼者の視点から、巡礼者ノートを用いて分析した。巡礼者は、アニメというメディアで作り上げられた世界を、現実の空間に見出すことによって、現実を多層化する。それは、聖地巡礼が巡礼者主導の活動であり、聖地という公共性に近いものを立ち上げる一方で、それぞれの私的な欲望を満たすような没入の態度を持つことを意味する。それ故に、聖地巡礼とは観光学でいうところのオーセンティシティ(聖地巡礼で求めるもの)が、人それぞれ、訪れる場所それぞれで変化する。また、現実の空間とアニメの世界という虚構を扱う聖地に没入する方法は、アイロニーを伴っていながらも、集団的に没入していくことで祭りを起こすというやり方でなされている。主に以上のような論点で、聖地巡礼について分析している。
講評  現実と虚構が交差する世界の解明を目的にその素材としてアニメ聖地巡礼を選定した論文である。観光学や現実と虚構にかかわる論考から、アイロニカルな没入、アーキテクチュアルな没入、ボトムアップ的な没入などの聖地巡礼をめぐる態度が検討され、そこから二次創作や偽史的想像力など巡礼者と対象地との関係が導かれる。このあたりはやや饒舌にすぎる感もあるが、最後に巡礼地に置かれているノートをテキストとして分析することにより、論文としてのリアリティが高まっている。アニメ聖地に作られていく多層的な空間が興味深い。
キーワード1 観光
キーワード2 現実
キーワード3 物語
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