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学科 | 社会学科 |
年度 | 2014 |
ゼミ名 | 杉本 久未子 |
タイトル | 「人種」概念の存在基盤―生物学的「人種」概念の歴史と認知科学的考察 |
内容 | 「人種」という概念は現代社会でも人々の意識に強く根付いている。大航海時代以降に他者との出会いが増えるにつれて展開された「人種」という概念は、明確な定義がなされないままに根本的な差異を規定するものとして想像され続けた。生物学は「人種」概念を追究するうち次第にその概念に根拠がないと主張し始めたが、人々のうちにある「生物学的な根拠を持つ分類方法」というイメージは今日でも消え去ってはいない。「人種」概念の探求とは何だったのか。また、「人種」概念はなぜ簡単には消えないのか。負の歴史と密接に結び付いたこの概念をわれわれは今後どのように扱えばよいのか。「人種」概念の探求が錯綜したのは、その概念を定義するための前提が共有されていなかったからである。しかし、そうした成果を知識として広めるだけでは「人種」概念の強固さを弱めることはできない。本稿では、「人種」概念の発生がわれわれの認知機構に基盤を持つ可能性を考察することで、その観点からも有効なアプローチが必要な理由を示す。 |
講評 | 最初に社会学のテーマでないからと相談を受けた時に、どんな事象でも社会学的な論述はできるからと出来栄えを期待した論文である。論文の作法にもとづき、まず「人種」概念が使用される4つの次元を示したあと、生物学的な「人種」概念の歴史を形態学、遺伝学などをベースに丁寧に論述し、生物学的には人種が存在しないことがほぼ証明されていることを述べている。後半では、それでも残る「人種」概念の存在を認知科学的な視点から説明した。評者が十分にこの議論を理解しているわけではないが、ある概念が社会的に形成され存続することを論じる素材として「人種」を選定した着眼はすばらしいと思う。 |
キーワード1 | 人種 |
キーワード2 | 社会と科学 |
キーワード3 | カテゴリー化 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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