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学科 社会学科
年度 2015
ゼミ名 板垣 竜太
タイトル 名古屋「派手婚」言説とは何か――地方文化の<規格化>が与えた影響――
内容  地域特有の婚礼文化を研究しているものは多少見受けられるが、本稿が調査する名古屋地区に限った地域独特の婚礼文化における変容過程に関して、管見の限りでは直接的な先行研究はない。そこで本稿では、名古屋の派手婚というローカルカルチャーがどのような過程を通じて誕生し、近代化や産業化の波とともにどのような変容を遂げたのかということを、地方文化の「規格化」という観点から捉えていく。結果として、「名古屋の派手婚」については、単に名古屋地区の人々は見栄っ張りで派手好きな県民性であるから派手な婚礼文化が生じたのかという問いで考察できるものではなく、名古屋地区の派手な婚礼文化の盛衰の背景には地方文化における産業の「規格化」という実態が如実に関係しており、名古屋派手婚イメージは真に名古屋地区の伝統的な婚礼文化ではなく、近代化、産業化、規格化の影響を受けて変化したものであり、そのイメージはメディア媒体によって放映・報道された結果、人々に植え付けられたものであったということが明らかになった。

講評 「名古屋の結婚式が派手だ」という言説がどのように発生、流布したのか、また実態はどうだったのかを、文献資料と当事者へのインタビューを通じて明らかにした研究である。特に、言説と実態が相互作用する局面に注目し、バブル経済期の1990年前後に「派手婚」が言説および実態ともにピークを迎えたこと、結婚情報誌の登場などで比較可能性が高まった結果として名古屋が特殊だという認識が広まるとともに、実態としては衰退していったことなどを跡づけた点が興味深い。事例研究をさらに広い脈絡で位置づける面においては弱いが、冠婚葬祭の産業化と地方文化との関係を考えるうえでは重要な情報を提供していると思う。

キーワード1 結婚式
キーワード2 地方文化
キーワード3 規格化
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