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学科 | 社会学科 |
年度 | 2015 |
ゼミ名 | 板垣 竜太 |
タイトル | 変わりゆく資本主義体制の中で分業を貫く ――大川木工家具産業の今―― |
内容 | 日本の産業構造は、近代化に伴いめまぐるしく変化してきた。主となる産業は第一次産業、第二次産業、そして第三次産業へと移り変わっている。また、日本の資本主義体制は巨大企業が中心となって展開していった側面がある。そのような中、生産高日本一を誇る家具のまちとして全国的に有名な福岡県大川市で、今でも中小企業を中心とした分業制によって、木工家具産業が形成されている理由を明らかにすることが本稿の目的である。これまで研究がなされていなかった90年代以降の大川木工家具産業について、工業統計表をもとに分析した結果、90年代以降も生産高日本一という地位を維持しているものの、景気に左右され急激に産地の規模が縮小していることが分かった。一方、大川家具の製造に関わる人々へのインタビューから、分業によって他産地よりも高い生産力や専門性が実現していることが分かり、その必要性が明らかになった。規模の縮小を食い止め、さらに盛り上げていくためには、分業制という特徴はこれからも守りつつ、デザイン性の強化など産業構造以外での変革が大川には求められているという見解が得られた。 |
講評 | グローバル化の進展にともない、多くの製造業者が生産拠点を海外に移転したり、企業合併で規模を拡大したりしていくなか、数多くの中小企業が地域内分業を維持しながら存続している大川木工家具産業の現状を、統計データだけでは把握しきれないディテールまで、内在的に明らかにした論文である。ケーススタディとしての性格が極めて強く、ここから何が見えてくるのかという、一歩引いた分析がほしかったし、特に家具という製品の特性を現代資本主義のなかに位置づけてほしかったのは確かである。だが、受注生産をベースにした分業によってリスクを分散しながら生き延びていく中小企業の様相が具体的に見えてきた点においてメリットがある。 |
キーワード1 | 資本主義 |
キーワード2 | 大川木工家具産業 |
キーワード3 | 分業制 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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