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学科 社会学科
年度 2015
ゼミ名 板垣 竜太
タイトル なぜ中高年男性の間で美容ブームが起こっているのか-外見力がビジネスで評価される現代-
内容 従来、美容は女性の分野であると見なされてきた。しかし近年は美容に気を遣う男性が増えている。とくに仕事へのアプローチを目的とした、中高年世代のビジネスマンの間で美容分野が拡大している。先行研究では、女性の社会進出が背景にあると指摘されてきた。職場や取引先に女性が増えたことにより、男性は女性からのまなざしを意識して外見に気を遣うようになるのである。そして、実際に美容行為を行う中高年男性に調査を実施し、新たに年功序列制の廃止と成果主義の導入が美容分野の拡大を促進した要因であることがわかった。勤続年数が長ければ安定するという状況は崩れ、中高年という世代にある男性は若手社員に負けないように仕事で成績を出し、評価を上げる必要が生じた。そこで一つの手段となったのが美容であり、外見で評価される傾向が高まっている現代において、かつて物珍しいものと見なされた男性の美容分野に発展が生じたと考えられる。
講評 アーティストなど特殊な職業に限られると考えられていた男性の美容であるが、その市場が近年拡大している。その要因を美容業界側の市場拡大への要求という側面から説明するのはたやすい。本論文の面白みは、実際に美容をおこなう中高年男性の声を聴き取り、その一背景として、これまでも指摘されてきた女性の社会進出という要因に加え、年功序列制の廃止や成果主義の導入にともなう周囲の目の評価という要因が浮かび上がってきた点にある。事例は少ないものの、新自由主義時代の「美」のあり方について一石投じた点において興味深い論文である。

キーワード1 中高年男性
キーワード2 美容
キーワード3 成果主義
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